「何もさせずに勝つ」5.6東京ドーム井上尚弥vs“悪童”ネリが正式発表…挑戦者が過去の過ちを異例謝罪も「リスペクトしているが恐れはしない」と豪語
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)が5月6日に東京ドームで元2階級制覇王者でWBC同級1位の“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)と防衛戦を行うことが6日、都内のホテルで両選手が出席して発表された。ネリは元WBC世界バンタム級王者、山中慎介氏との世界戦で体重超過して王座を剥奪され、JBCから無期限の活動停止処分を受けていたが、2月26日に解除されていた。またアンダーカードでは、弟でWBA世界バンタム級王者の井上拓真(28、大橋)が同級1位の石田匠(32、井岡)と2度目の防衛戦を行い、WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(28、倉敷守安)がV1戦で同級3位でOPBF東洋太平洋同級王者の桑原拓(28、大橋)の挑戦を受け、元K-1王者の武居由樹(27、大橋)がWBO世界バンタム級王者のジェイソン・マロニー(33、豪州)に初挑戦する豪華な4大世界戦となった。試合の模様はAmazonプライムビデオで独占生配信される。
噂のビッグファイトがついに正式発表となった。 グレーのスーツ姿でノーネクタイで登壇した井上は、関係者に感謝の言葉を述べた後に、表情を引き締めた。 「この試合は東京ドームで行われるタイソン以来の試合となる。凄いモチベーションが高いしルイス・ネリを迎えるにあたって気を引き締めていかねばならない戦いだと思う。過去一、仕上げなければならないと思っているし、試合内容として凄く白熱する試合になると予想している。4大タイトルということで、そのすべてのタイトルが大橋ジム(所属のボクサー)。全勝して、この日を締めくくりたい。みなさん当日を楽しみに思っていただければ」 東京ドームでのボクシング興行は1990年2月に当時のヘビー級3団体統一王者のマイク・タイソン(米国)が、伏兵のジェームス“バスター”ダグラス(米国)にKO負けするという“世紀の番狂わせ”以来、実に34年ぶり。 日本のボクシング興行の過去最多観客動員は、このタイソンダグラス戦の5万1600人で、日本人ボクサーがメインを張った興行では、白井義男氏が日本人初の世界王者となった1952年のダド・マリノ(米国)戦で後楽園球場に4万5000人が集まった。大橋会長は「席数の調整などはこれから」と言うが、5.6東京ドームで井上がそれらの動員記録を更新するのは間違いないだろう。 対戦相手のネリは、この日の会見に合わせて緊急来日した。 最初に「再び日本の地を踏むことができてうれしく思う。申し訳なかったと、まずは謝りたい。コミッション(JBC)、ボクサー、帝拳プロモーション…すべての方々に謝罪を申し上げます」と異例ともいえる謝罪の言葉を口にした。 黒のジャケットを着たネリは神妙な顔つきだった。 「今は集中してきちんと練習をしている。2度、裏切ってしまったが、節制して、きちんと調整をしている。グレートな試合をしたいと思っている」 36戦35勝(27KO)1敗の戦績を持つ対戦相手のネリは“悪童”の呼称が示す通りに日本ボクシング界で最も嫌われているボクサーと言っていい。 ネリは2017年8月に当時のWBC世界バンタム級王者の山中慎介(帝拳)に挑戦し、4回TKO勝利でベルトを奪ったが、ドーピング疑惑が浮上した。WBCの指令で両者は2018年3月に再戦したが、今度は2.25キロもの体重超過、再計量でも1.3キロオーバーで計量をパスできずに失格、王座剥奪となった。当日の体重に制限を設けることで試合は、ネリへの大ブーイングが吹き荒れる両国国技館で実施されたが、山中が2回TKO負けを喫した。JBCは事態を重くみて、ネリに無期限の活動停止処分を下した。今回、ネリサイドは、井上への挑戦を実現するために、JBCに謝罪並びにライセンス申請資格の回復を求める文書を提出。JBCは倫理委員会にかけた上で2月26日に処分の解除を決定した。WBCはネリを指名挑戦者として認定するにあたりJBCと協同で再発防止策として事前計量(30日前、15日前、7日前)の厳格運用及びVADA(ボランティア・アンチドーピング機構)による抜き打ちドーピング検査とドラッグテストを義務づけている。 さっそく今回も体重をチェック。 「今は60キロだ」とネリが明かした。試合2か月前にスーパーバンタム級のリミットの55.34キロまで5キロを切っているのだから優秀だろう。
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