「何もさせずに勝つ」5.6東京ドーム井上尚弥vs“悪童”ネリが正式発表…挑戦者が過去の過ちを異例謝罪も「リスペクトしているが恐れはしない」と豪語
ファンの間では山中氏の仇討ちを井上に託すという気運が強い。 だが、井上は「そういったこと(ファンの気持ち)はわかっている。第2戦はあの会場(両国)で私も観戦している。経過はわかっているが、今回の戦いは、自分対ネリということで、先ほど、もネリが挨拶で“反省している”と言っていたということもあるので過去の因縁は持ち込まないように戦いたい」と断言した。 会見の冒頭でネリが謝罪したことを評価したのだ。 ネリは、その井上の発言を聞き「井上選手のコメントは良かった。私は集中して試合をやりたい。日本の皆様が何を考えているかをあまり考えずに集中したい」と 返した。それでも東京ドームは大ブーイングに包まれるだろう。 だが、ネリは「リングに上がれば観客は消えるんだ。マジックみたいなもの。リングは、私とライバルの2人だけになる。日本で試合する方がやりやすい。メキシコだと、家族や支援者が見ているのでナーバスになるが、ここでは、その必要がない」と豪語した。 ネリは、山中戦の後も、体重超過を繰り返したが、スーパーバンタム級に階級を上げて、WBC王者となり、2階級制覇に成功した。WBA王者だったブランドン・フィゲロア(米国)との統一戦に7回にKO負けし、その統一王者をスティーブ・フルトン(米国)が破り、そのフルトンに井上が勝ったわけだが、ネリは、WBCの挑戦者決定戦も含めて、現在4連勝中。スーパーバンタム級に上げてから体重超過はないが、何をやってくるかわからない不気味さがある。 加えて75%の高いKO率が示すようにパンチ力がある。サウスポースタイルからラフに左右のパンチを打ち込んでくる回転力と突進力には要注意。井上が2度戦った元5階級制覇王者の“レジェンド”ノニト・ドネア(フィリピン)の左フックもトップ級だったが、過去に対戦したボクサーの誰よりもネリが最も一発の危険性を持った相手だろう。井上は、現在7試合連続KO中だが KO決着は必至の東京ドーム決戦にふさわしい激しい一戦となることは間違いない。 「一発のパンチはあるなという印象がある。映像を見ている限り、打たれ強い選手だと感じる。ストロングポイントをあげるなら、そこかなと」 井上は、ネリをこう警戒した上で堂々と勝利宣言をした。 「4団体の王者としてふさわしい試合をしたい。ネリに対して圧倒的に勝てばキャリアのなかでステップアップできる。まず勝つことが大前提。内容的にはネリに何もさせずに勝つ。そこを目指して挑戦していきたい」 一方のネリは、「輝かしいキャリアを持ち、スピードがあってパワフルでいい選手。才能があり、たくさんの長所をもっている」とモンスターを評した上で、こう言った。 「リスペクトはしているが、恐れてはいない。12年のキャリアで最も大事な試合。いい試合をしたい。最高のパフォーマンスをだしてメキシコ人ボクサーの中でも最強であることを印象づけたい」 ツーショットの写真撮影で2人はほとんど目を合わせなかったが、最後にどちらからともなく手を差し出して握手を交わした。ネリは一瞬笑った後に、すっと真顔に戻り敵意を見せた。 (文責・RONSPO編集部)
【関連記事】
- 井上尚弥がKOに時間がかかった衝撃理由が判明…タパレスの当日体重はスーパーライト級だった…やっぱり怪物「苦戦」への反論は正しかった
- 「今日に限っては兄の尚弥を超えたと言っていいですかね?」なぜ井上拓真は“最強挑戦者”に9回KO勝利できたのか…覚醒の理由
- 衝撃6回TKO勝利で全米を驚かせた3階級制覇王者の中谷潤人の何がどう凄かったのか…計算尽くされた左ストレートと“ネクストモンスター”の資格…V1戦はフィリピン強豪と指名試合
- 東京五輪銅メダリストの兄が語る田中恒成の史上最速4階級制覇の真実
- なぜ“カリスマ”辰吉丈一郎は岡山のジムから初の世界王者ユーリを称え、拳を痛めKOできなかった次男の寿以輝を「無冠じゃ飽きられる。辰吉の名前だけじゃ」と厳しく突き放したのか?