長年のホンダ「CB」由来論争、ついに決着? 実は○○○を意味していた!?
初のCBが誕生、元来BはベターのBだったが……?
そして1959年、初のCBである「CB92スーパースポーツ」が登場する。前述のとおりCはモーターサイクル、92は125ccモデルを意味する。ではBは? 「私が後に原田義郎さんから直接聞いた話なんですが、“Bはベター、つまりCycle Betterと僕は聞いた”」と高山さん。つまりCB=“よりよいバイク”という意味だ。 とはいえ、発売後間もなくCB=クラブマン説が有力になっていた。 当時は浅間火山レースが日本最大級のレースだったが、ライダーは個人ではなく、全国のモーターサイクル愛好会としてクラブ単位で参加。総じてアマチュアライダーの方をクラブマンと呼んでいた。 CB92の発売直後、全日本クラブマンレースや第3回浅間火山レースで無名の北野元選手がいきなり優勝。ワークス勢を抑え、市販車のCB92で勝利したことから「CB=クラブマンというイメージがどんどん出来上がっていった」と高山さんは話す。 「原田さんはそこで言い直したんです。“でもサイクルベターよりクラブマンの方がかっこいいよね。もう皆さんCBはクラブマンと呼んでるから、それでいいんじゃないの”」と高山さん。 実際、CB92のカタログにはクラブマン用のキットパーツが多数掲載されていた。「CB92でスポーツをしてほしいとの願いが隠れていたのは事実ですね」と高山さんは語る。 実際CB92をきっかけに“CBはホンダの凄いスポーツバイク”というイメージが定着し、大人気に。このイメージは以降も変わらず、CB750フォア、CB900F、CBX、CB1000Rほか数々のCBが誕生していく。さらにスポーツ性能を追求した「CBR」と分化し、現在もCBはスポーツバイクとして息づいている。
「CAの次だからCB説」「B=ブリティッシュ説」はどうなのか?
なお「CAがあったからCBなのでは」という説に関しても、高山さんは意見を披露。 「確かにCAはありました。1962年にアメリカ向けに販売したスーパーカブ50がCA100でした。50ccなので100番台、AはアメリカのAですね。ただしCA100は、CB92の3年後(1962年)なので、Aの次だからBという説はないと思います」 また当時ホンダは英国のマン島TTの参戦を計画していた。そのため、Aがアメリカなら「Bはブリティッシュ」という説もあるという。 これに関しても「CBの後にCAが登場したので、ブリティッシュという案は多分ないと思います。でも、そういう考えもどこかにはあったかもしれないし、社内で誰かがそう言い始めたというのもあったかもしれないですね」と高山さん。 ちなみに、この複雑な車名は一般ユーザーにはわかりにくい。そこで、当時の副社長だった藤沢武夫さんが排気量による車名を提案。1964年にCB92がモデルチェンジした際、「CB125」という排気量表示になった。この辺りから基本的に排気量が車名に入るようになったとのことだ。