DeNA・柴田竜拓 重圧かかる場面で魅せた職人技/これぞプロの技
まさに職人の技だった。身長167cmの伏兵、柴田竜拓が8月3日の阪神戦(横浜)の7回に代打で出場すると決勝打につながる犠打を成功。大型連敗を止めた試合後、三浦大輔監督も「柴田が、難しい中で最高のバント決めてくれました」と最敬礼のプレーだった。 【選手データ】柴田竜拓 プロフィール・通算成績・試合速報 この試合まで、チームは3年ぶりの泥沼9連敗。長いトンネルを抜け出すことができずにいた。重苦しいムードが漂う中、4対4で迎えた7回だった。阪神二番手・岩貞祐太の制球が定まらず、先頭の八番・林琢真がストレートの四球で出塁。九番に入っていた投手の打順で、代打・柴田が告げられた。 阪神の内野陣は当然バントを警戒。左腕の岩貞が投じた1球目は、柴田の顔付近の高さへの厳しい投球でファウルとなった。試合も終盤。打順が上位に戻るだけに、相手も簡単にバントを許さない攻めを続ける中で2球目、再びバントを構えた顔面付近への難しい投球も、柴田が最後は捕手方向に体を回転させながら打球の勢いを殺し、見事に投前へ犠打を成功させた。 そこからチャンスが広がり、佐野恵太の決勝打へとつながった。大型連敗を止める貴重な勝ち越し点を呼び込んだのが柴田の絶妙な犠打だっただけに、三浦監督も「(先頭の)林がしっかり出塁し、プレッシャーがかかるところで初球、厳しい球が来た中での次の球。難しいバントだったと思うけれど、柴田だからできるバントだった」と賛辞を惜しまなかった。 宮崎敏郎、佐野、牧秀悟、T.オースティンら強打者がそろうDeNAにおいて、小技に堅実な守備も光る柴田は貴重な存在となっている。 写真=BBM
週刊ベースボール