「運転やめたいけど…」過疎地域で高齢者が“免許の自主返納”に踏み切れない現状と対策
南海放送
愛媛県内では去年1年間に、高齢ドライバーが絡む交通事故が758件発生し、このうち、高齢ドライバーが過失が大きい第一当事者となった事故は8割近くを占めています。 そんな中、高齢者自身が、そして家族が考えるのが…免許の有効期間が満了する前に、自らの意思で取り消しを申請する「運転免許の自主返納」。 しかし… 80代女性: 「返納もしたいが、やっぱり田舎なのでちょっとは乗りたい」 80代男性: 「仕事の都合で…もうあと一回だけ(免許更新する)」 交通事故の被害者、そして加害者にならないために、私たちができる選択を考えます。
免許の自主返納数は減少傾向
松岡キャスター: 交通事故を考える、清家記者です。 清家記者: こちらは過去5年の県内の運転免許保有者数とこの先の推移予測です。 松岡キャスター: 人口も減っていますから、運転免許保有者も減少していますね。 清家記者: そうなんです。しかし、65歳以上の高齢者の運転免許の保有数を見てみると、過去5年増え続けていて、県内では今年が最も高齢ドライバーが多くなる見込みです。
一方で県内での運転免許の自主返納の推移は、2019年の池袋暴走事故の年に一気に増えたものの、それ以降は減少している状況です。 ‟自主返納して運転をやめたい”と考えている方もいる一方で、取材し、高齢者の声を聞くとそうはいかない現状と課題が見えてきました。
スーパーもバス運行もない集落で「免許の自主返納」決めた男性は
西予市城川町の遊子川地区。地区の人口は245人、そのうち65歳以上がおよそ60%を占める限界集落です。スーパーや病院はなく、バスの定期運行もありません。
酒井喜義さん、95歳。妻の時江さんとの2人暮らしです。この日は2週間ぶりに、息子の孝志さんが実家を訪れていました。喜義さんは腰などを痛めている時江さんのために、料理など家事全般をこなしています。 妻・時江さん: 「何でもしてもらうから食べられる。朝も味噌汁もちゃんと炊いてくれて」 買い物は1週間に1回。喜義さんの運転で自宅からおよそ15キロ先のスーパーに向かいます。