あまりの恐怖に尋問中に「失神」…イラン人女性が明かす、3人の尋問官による「ヤバすぎる拷問」の実態とは
イランでは「好きなことを言って、好きな服を着たい!」と言うだけで思想犯・政治犯として逮捕され、脅迫、鞭打ち、性的虐待、自由を奪う過酷な拷問が浴びせられる。2023年にイランの獄中でノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディがその実態を赤裸々に告発した。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 上司の反対を押し切って担当編集者が日本での刊行を目指したのは、自由への闘いを「他人事」にしないため。ジェンダーギャップ指数が先進国最下位、宗教にも疎い日本人だからこそ、世界はつながっていて、いまなお闘っている人がいることを実感してほしい。 世界16カ国で緊急出版が予定されている話題作『白い拷問』の日本語版刊行にあたって、内容を一部抜粋、紹介する。 『白い拷問』連載第28回 『女性囚人を殴りいたぶった末に医務室で「5時間放置」…「手あたり次第の逮捕」で刑務所は「無法地帯」へ』より続く
真夜中の尋問
語り手:ヘンガメ・シャヒディ ヘンガメ・シャヒディ(1975年生まれ)はジャーナリスト、記者であり、女性の権利活動家である。何度かの逮捕歴があり、最初の逮捕は大統領選挙にまつわる一連の出来事のあとで、拘禁は2009年の7月から11月まで続いた。2010年3月、「国を脅かす意図を持って集会、共謀した」「国の代表を侮辱した」という罪で6年の禁固刑を科された。そして再び2016年の7月と2017年3月に逮捕され、同年9月に釈放された。2018年6月、再び逮捕され、同年12月、革命裁判所第15支部のサラバティ裁判官により、12年の禁固刑を言い渡された。また、2年間はいかなる政治組織にも参加できず、オンラインメディアでの活動も許されていない。ヘンガメの娘、パルミスは母親との面会のため、エヴィーン刑務所の241棟に何度も足を運び、つらい思いをしている。ヘンガメは独房拘禁を4回経験している。 ――尋問はいつ、どこでおこなわれましたか? 初めての尋問は収監の事務手続きが済むとすぐに始まった。場所は209棟の地下室。のちに241棟に移った。夜も昼も、その小さな部屋で尋問された。 ある晩、眠っていたところを女性の看守に起こされた。朝の3時頃だったと思う。私はこうなることを予想していた。死刑になると日常的に脅されていたので、いよいよ自分は死刑になるんだと覚悟した。