蒸気、木漏れ日、樹木が見通しを悪化。|長山先生の「危険予知」よもやま話 第25回
冬道は日陰部分の凍結にも注意!
編集部:たしかに対向車線の路肩にはけっこう雪が残っていますね。路肩に雪が残っていれば、よけい路肩に寄って走るのを避けますね。 長山先生:そのとおり、あえて滑りやすい路肩を走ろうとするドライバーはまずいないので、路肩の雪を避けて雪が残っていないセンターライン寄りを走ろうとするでしょう。 編集部:夏タイヤを履いていたら、なおさらですね。ちょっとでも雪が残っている部分は走りたくないので、ドライバーは雪が少ない部分を走ろうとします。 長山先生:そうです。多くのドライバーが同じ考えでセンターライン付近を走るので、センターライン付近の雪は早く融け、路肩の雪はなかなか融けないということになります。さらに路肩は日陰になっていることが多いので、雪が融けにくいという危険性もあります。 編集部:今回のカーブもよく見ると、対向車線のカーブ中央付近は木の陰になっていますね。 長山先生:そうです。日が当たらず、しかも気温が低いと、雪や濡れた路面が凍結している危険性もあります。以前、住宅街の下り坂で自分が走る車線にはすでに雪が残っていなかったのですが、道全体が住宅の陰になっていて道路が凍結していて滑ったことがありました。アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)のお陰で何とか無事に切り抜けましたが、冬道の日陰部分に入るときには十分気をつける必要があることを悟りました。 編集部:そういえば、学生時代に数台の車に分乗して冬の峠道をドライブしたことがあったのですが、友人の乗った車が日陰に残っていた雪でスリップし、崖に車をぶつけたことがありました。 長山先生:あなたの車は大丈夫だったのですか? 編集部:私は別の友人が運転する車の助手席に乗っていて大丈夫でした。その友人は峠道に慣れていて、日陰に残った雪をうまく避けて「(後続車は)大丈夫かな?」と思っていたそうです。峠道を何度も走った経験から「日陰は危険!」と知っていたようです。当時は「危険予知」という言葉すら知りませんでしたが、あの時の友人は、危険予知ができたお陰で事故らずに済んだと思います。 長山先生:その方も過去に日陰の残雪や凍結路面で痛い目にあったのかもしれませんね。知識として知っていても、そういった特殊な状況への対応は、実際に経験しないとなかなか実践できないからです。私の場合、以前海外に視察に行った際に「スキッドパン」という摩擦係数の低い路面で、スリップした際の運転の難しさを体験することができました。