金融機関のAI活用に潜在リスク、時価評価などモデル活用で-金融庁
(ブルームバーグ): 金融庁は12日、過去データに基づいた将来予測などの活用やリスク管理の実態について、大手金融機関を点検した結果を公表した。人工知能(AI)の活用には潜在的なリスクがあり、利用の広がりに応じて管理強化が必要だと指摘した。
大手銀行や証券会社は過去データを活用して推定値や予測値をつくり、金融商品の時価評価や自己資本のストレステストなどに活用している。こうした手法は「モデル」と呼ばれ広く使われているが、モデル自体が不適切だと誤った意思決定につながり、収益に大きな損害を与えるリスクが指摘されている。
金融庁はこうしたリスクや対処状況について大手金融機関を対象に3年間にわたってモニタリングを行った。その結果、リスク管理の枠組み構築はおおむね終えて実務にあたっていると評価する一方、モデルへの活用が進むAIについて、リスクに対応した検証方法をまだ模索・検討している段階だと指摘した。
金融庁の担当者は、将来的には金融機関のリスク管理の中枢にAIモデルが使われる可能性があると説明。その上で、金融機関のAI活用はまだ初期段階で、今後はリスク管理面からの議論が必要と述べ、実態把握に努めるとした。
今回のモニタリングは三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友トラストグループ、農林中央金庫、野村ホールディングス、大和証券グループ本社の7社を主な対象とした。
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Hideki Suzuki