本島純政&上村謙信、男子高校生の純愛描く「未成年」に込めた思いや見どころとは?
――それぞれ水無瀬と蛭川を演じる上で意識していることを教えてください。 本島 「僕は一瞬一瞬、その場所を生きるということを意識しています。台本を読み込んで、しっかり準備することはもちろんなのですが、本番では準備してきたものをいったん忘れて、無意識な状態でセリフや動きを出せるのがベストなんじゃないかと思って。なので、最近は本番前に『どうにでもなれ』と自分に言い聞かせる感じで、その場で感じたことを大切に水無瀬を演じるようにしています」 ――それでは、原作のキャラクター像のみならず、本島さんならではの水無瀬も詰まっているということですね。 本島 「はい。もちろん原作も大好きで大切に思っているのですが、監督には、『原作をそのまま再現するだけでなく、自分たちの個性やエッセンスを加えてこそ、映像化する意味があるんじゃないかな』と言っていただけて。原作にとらわれ過ぎず、その時の彼らの心情を大切にしながらお芝居をしています」 ――上村さんはいかがでしょうか。 上村 「純政くんと同じく、このシーンの蛭川はどういう感情なのかというのを常に考え、その流れまで表現することを大切にしています。お芝居するうえで、決して段取りチックには見せたくないので。蛭川はいろいろ考えていてもそれを表に出せないところがあるので、毎回きちんと心情を整理しつつ、やりすぎず自然体で演じようと思っています」
――蛭川は教師の首を絞めたり、父・正彦(オクイシュージ)から虐待を受けるなど、衝撃的なシーンが話題を呼んでいます。 上村 「水無瀬とのシーンは学校や公園にいることが多く、青春のキラキラを感じるので癒やされますが、お父さんとのシーンでは暴力を振られ、汚くて暗い家にお酒や雑誌が転がっていて…とその差が大きく、最初は少し戸惑いも感じました」 ――それをどう乗り越え、お芝居につなげていったのでしょうか。 上村 「お父さんから暴力を振るわれるシーンでは気持ちの整理がつかず、時間をいただいたこともあったのですが、皆さん僕のことを気遣って待ってくださって…。いろいろな方の支えがあって乗り越えられていると思います。本当にスタッフさん全員がすてきな方々で、撮影が日々楽しみです」 ――共に繊細で難しい役どころかと思いますが、ご自身が演じるキャラクターの魅力に感じる部分を教えてください。 本島 「お母さんの期待に応えて、いい子であろうとするところはすごく共感できます。それは水無瀬の魅力であり、誰かの前でいい子でいようとするのは人間誰しも持っている部分だと思うんです。僕自身、人前で自分が理想とする自分を演じてしまうことがあるので、そこはすごく似ているなと。そして、蛭川に出会ったことでどんどん心の氷を溶かされていく、その素直さも魅力的だなと思いますし、意外と水無瀬って勇気があるんですよね。蛭川が虐待を受けていると知り、家に招き入れて泊めてあげるって、なかなかできないことだと思っていて。“自分は傍観者である”と割り切って過ごしてきた水無瀬が、蛭川と出会い、人と関わる怖さよりも、救いの手を差し伸べたいと思うようになる、そういう優しさも大好きです」 上村 「蛭川は本来すごくピュアで素直で真っすぐなのですが、複雑な家庭環境からそんな自分にふたをして、自分が犠牲になればいいと思いながら生きてきた人。自分が我慢することで周りの人が幸せになるならそれでいいと、自分を押し殺してしまうんです。それが、水無瀬と出会ったことで、本来の蛭川らしさがどんどんあふれてくるのが愛くるしくて…。『未成年』というタイトルの通り、大人とのしがらみに思い悩むさまも人間味を感じていいなと思いますし、カッコ良くてかわいい。魅力たっぷりで、より蛭川のことが好きになりました」