なぜヴィッセル神戸は突然社長を交代させたのか?
最終的には「この話はここぐらいで終わりにしましょう」と、ホームのノエビアスタジアム神戸にジュビロ磐田を迎える25日の第15節へ集中しようと呼びかけた。それでも直後には再び「ただ、現状は誰かけじめをつけないとね」とも投稿している。 一連の投稿を読む限りでは、三木谷会長は間違いなく辞任を示唆していた。しかし、2日後の23日深夜になって状況が大きく変わった。三木谷会長がおもむろに自身のツイッター(@hmikitani)を更新し、8分近い動画を公開した。 23日早朝に東京から急きょ神戸入りした三木谷会長を追った動画には、練習開始前にコーチングスタッフや選手を集めて開催された緊急ミーティングで、三木谷会長が辞意を撤回した上で涙ながらに一致団結を訴える姿も収められていた。 「このままやり続ける、というのも格好悪いのだけれども、格好悪くてもいいと思い、戻ってくることにしました」 こう語った三木谷会長が続投を表明したなかで、楽天グループの絶対的なトップが発した言葉の数々、特に「けじめ」が宙ぶらりんな状態で残ってしまった。 サポーターの期待を裏切り続けている低迷に対する「けじめ」を、どのようにしてつければいいのか。不振の原因のひとつにオフの補強があげられる状況を考えれば、三木谷会長が自ら招へいし、編成部門のトップを担うスポーツダイレクターとして開幕後の3月下旬に就任した永井秀樹氏(51)が引責辞任する理由は現時点で見当たらない。 必然的に責任を問われる存在として、三木谷会長に次ぐナンバー2の徳山社長が浮上してくる。退任後も神戸の取締役副社長を務める徳山社長は、コメント内で「立場は変わりますが、皆様と共に一致団結して前進して行く所存です」と綴っている。 徳山氏が神戸に残る6月以降の状況を踏まえれば、組織内の誰かが取らざるをえなくなった「けじめ」を、降格人事を介して取らされたと見えてしまう。表現は悪くなるかもしれないが、要するにとりあえず詰め腹を切らされた、となるだろうか。 三木谷会長が観戦した25日の磐田戦でも神戸は勝てなかった。相手の4倍ものシュートを放ちながらスコアレスドローに終わり、王者・川崎フロンターレに4-0で快勝した17位の湘南との勝ち点差は5ポイントに広がった。