なぜヴィッセル神戸は突然社長を交代させたのか?
J1リーグで最下位にあえぐヴィッセル神戸が27日、突然の社長交代を発表した。徳山大樹社長(33)が6月1日付で前職の副社長に降格し、千布(ちふ)勇気取締役(36)が新社長に就任する。神戸では三木谷浩史会長(57)が21日に「いつでも身を引く。現状は誰かけじめをつけないとね」と辞任を示唆しながら、23日になって涙ながらに続投を表明。開幕から続く低迷に対する責任が宙ぶらりんとなった状況で、昨年2月に就任したばかりの徳山社長が詰め腹を切らされた形だ。
新社長は東大サッカー部出身の36歳
15試合を終えたJ1リーグでわずか1勝にとどまり、17位の湘南ベルマーレに勝ち点で5ポイント差をつけられて最下位にあえぐ神戸が突然の人事に踏み切った。 クラブを経営する楽天ヴィッセル神戸株式会社の6月1日付の代表取締役社長人事として、現職の徳山氏が取締役副社長に降格し、後任に千布取締役が就任する。 神戸の公式ホームページには、新旧の代表取締役社長のコメントが掲載された。昨年2月に就任した当時の31歳という若さが注目された徳山社長のコメントを読めば、開幕から続く未曾有の不振に対する責任を取った退任だと伝わってくる。 「今シーズンは、タイトル獲得を目指しスタートいたしましたが、現在までご期待に添える結果を出せていないこと、深く責任を感じております」 東京大学大学院工学系研究科で化学システム工学を専攻した千布氏は、徳山氏とともに2011年に楽天へ入社。2019年に常務執行役員として神戸の一員となり、昨年の取締役就任を経て新社長に就く胸中をこんな言葉に変換させている。 「昨今クラブは浮き沈みの波がありますが、少しでもヴィッセル神戸に関わる皆様が応援したいと思っていただけるクラブにできるように、粉骨砕身の覚悟で業務にあたってまいります」 コメントのなかで「学生時代に10年以上サッカーに打ち込んで」とも明かした千布新社長だが、神戸が直面する状況は残念ながら社長交代では変わらない。 湘南に1-2で敗れ、入れ替わる形で再び最下位に転落した21日の明治安田生命J1リーグ第14節後に、神戸は図らずもピッチの外で大きな注目を集めた。 自身が率いる楽天グループの無料通話アプリ「Viber」で、三木谷会長が「大好きな神戸のためと19年間それなりに必死でやって来ましたが、僕がいないほうがクラブも自立、奮起するでしょう」などと意味深な投稿を繰り返したからだ。