阪神 41年ぶりの巨人投手獲り 近大出身の30歳右腕・畠 大竹、漆原に続く“当たり”なるか
出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるために22年から導入された第3回現役ドラフトが9日、3年連続非公開でオンライン開催された。阪神は巨人・畠世周投手(30)を獲得。巨人投手が阪神に移籍するのは1984年太田幸司以来41年ぶりとなる。先発、中継ぎで通算19勝と経験豊富な右腕が今季リーグ優勝を果たしたライバル球団から新加入。阪神からは浜地真澄投手(26)が、DeNAに移籍する。 阪神にとって、“良縁”が続いている現役ドラフト。今回は巨人から畠を獲得した。今季終盤まで優勝争いを演じたライバル球団からの加入。他球団がリストアップした選手たちの中から畠指名に至った経緯を、嶌村球団本部長が明かした。 「畠君はずっと投げていて、うち(阪神)との対戦も多いし。真っすぐが強くて、カット、スライダー、チェンジアップを駆使しながら投げてくるピッチャー。うちのピッチャーの中に入っても、十分やっていける」 畠は近大から16年ドラフト2位で巨人に入団。1年目の17年にはシーズン途中から先発ローテーション入りして6勝を挙げた。21年には中継ぎに配置転換され、52試合に登板した実績もある。同本部長も「(先発、救援)両方できるタイプ。ぜひ頑張ってほしい」と期待をかけた。 22年から始まった現役ドラフト。阪神は新天地で花開きそうな選手を的確にピックアップし、大きな“収穫”を得てきた。第1回でソフトバンクから獲得した大竹は移籍初年度の23年に自己最多となる12勝(2敗)を挙げチームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献。今季も2年連続で2桁勝利と、今や先発ローテーションに欠かせぬ存在となった。昨年の第2回でオリックスから獲得した漆原も今季38試合に救援登板と貢献。虎は“現役ドラフト巧者”と言える。 今回も事前に藤川監督、嶌村本部長はじめ、フロント陣が意見交換を重ねて畠の獲得に至った。右腕は昨年3月に右肘のクリーニング手術を受けて同年は1軍登板なし。今季も1軍1試合登板に終わっているが、イースタン・リーグでは37試合登板2勝1敗2セーブ、防御率1・41の成績を残した。嶌村本部長は「それ(手術からの経過)も含めて」と復調過程にあることも、獲得の理由となったことを示唆した。 阪神から馬場が巨人に移籍して1年。巨人の投手がタテジマのユニホームに袖を通すのは、実に84年太田幸司以来41年ぶりとなる。歴史的な移籍となる畠は巨人を通じて「お世話になったジャイアンツの皆さまに恩返しができるよう、阪神タイガースの力になれるよう、目いっぱい腕を振っていきます」と決意を新たにした。伝統の一戦で勇姿を見せることが、最高の恩返しとなるはずだ。(遠藤 礼) ○…阪神―巨人間移籍は2リーグ制以降10度目。現役ドラフトでは昨年の馬場(神→巨)に続き2年連続。巨人の投手が阪神に移籍するのは84年の太田幸司以来。太田は巨人でも阪神でも1軍登板がなく、畠が来季巨人戦に登板すれば、79年小林繁以来46年ぶりとなる。 ◇畠 世周(はたけ・せいしゅう)1994年(平6)5月31日生まれ、広島県出身の30歳。近大福山高から近大を経て16年ドラフト2位で巨人入り。1年目の17年に先発で6勝。21年途中から救援に回り、自己最多の52試合に登板。通算119試合で19勝12敗2セーブ、防御率3・21。1メートル86、82キロ。右投げ左打ち。