飲み込む力は握力とも関係している⁉ 誤嚥性肺炎を予防するために行いたいのは…【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑩】
喉の老化を防ぐには、体力を低下させない、呼吸機能を悪くしない、体重を減少させない、筋肉量を減らさないことが何より大事。飲み込む力は、全身体力や呼吸器や握力ともかかわっていることがわかっている。誤嚥性肺炎を予防するために取り入れたいこと、注意すべきことについて、耳鼻咽喉科専門医の西山耕一郎さんに教えてもらった。
体力を維持すると、飲み込む力が衰えない
飲み込む力は握力や息を吐く力と相関しているといわれる。握力が低下していたら、体力が弱くなっているサイン。耳鼻咽喉科の西山先生によれば、ペットボトルのふたが開けられなくなったり、横断歩道を青信号の時間内に渡り切れなければ、飲み込む力が落ちていると考えられるのだそうだ。 「以前、80歳前後の方々に協力していただき、“誤嚥しないグループ”と“誤嚥したグループ”のそれぞれの握力について、調べたことがあります。すると、“誤嚥したグループ”は明らかに握力が低下していることがわかったのです」(西山先生) 高齢者が病気やケガで入院したり、寝込んだりして体力が衰えると、嚥下機能が一気に低下してしまう傾向がみられる。これは喉の筋力が低下してしまうのが原因。まだ50代だからと油断しないで、適度な運動をして体力を維持しよう。スイミングやジョギングなど、運動習慣がある人は今後もぜひ続けて。全身の筋力を維持することが、握力を維持することにつながる。
体力づくりには「歩く」のがおすすめ
飲み込む力を保つには、体力を備蓄しておくことが欠かせない。おすすめしたいのは「歩く」こと。 「ウォーキングは最も手軽にできる全身運動。体力づくりにもってこいです。酸素を取り入れながら行う有酸素運動なので、肺活量が強化されるうえ、血行がよくなり、代謝もアップします。いつもの買い物を家から少し離れたスーパーに行くなど、日常生活の中でこまめに『歩く』習慣をつけるとよいでしょう」 体力をアップさせるには、息が少し弾んで汗ばむくらいのスピードで歩くことが推奨されるが、無理しなくても大丈夫。むしろ大切なのは継続することだ。 「全身の筋力低下は飲み込む力と関連しているので、もしも寝たきりになったり、車椅子生活になったりして歩けなくなった場合、嚥下機能も低下してしまいます。自分の足で歩くこと、そして、口から食べて飲み込む力を維持することは、将来的なQOLにもかかわります。1日30分程度、歩くことを日課にしましょう」