飲み込む力は握力とも関係している⁉ 誤嚥性肺炎を予防するために行いたいのは…【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑩】
喉の違和感を感じたら、耳鼻咽喉科を受診しよう
慢性的にむせやすい人は、飲み込む力が衰えているサイン。実は、西山先生のクリニックでは、コロナ明けに「むせやすい」と訴えて受診する人が増加した。 「近年、年齢を問わず、飲み込む力が衰えている誤嚥性肺炎予備軍の人たちが増えているように感じて、危惧しているところです。また、『熱はないけれど、いつも痰がからんでいる』と、小さな不調を感じている人が増えている印象ですね」 多くの人は「発熱もないし、問題ない」と思っているかもしれない。でも、食事中や食後に痰がからむ状態が続く人は、誤嚥により気管支炎を起こしている可能性がある。食後に痰が黄色っぽくなったり、咳がひどくなったりしたときは要注意。体力が落ちていると症状が進みやすく、あっという間に誤嚥による気管支炎から誤嚥性肺炎に移行することがあるからだ。 「また、『なんとなく喉がおかしい』と違和感を訴える人を診察したら、喉にがんができていて、咽頭がんを発症していたケースもありました。喉に違和感を感じたときには、早めに耳鼻咽喉科を受診していただきたいと思います」
【教えてくれたのは】 西山耕一郎さん 西山耳鼻咽喉科医院院長。医学博士、東海大学医学部客員教授、藤田医科大学医学部客員教授。耳鼻咽喉科頭頸部外科専門医、日本嚥下医学会嚥下相談医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士。現在は複数の施設で嚥下外来と手術を行うかたわら、教鞭をとりながら、学会発表や医師向けセミナーを行う。著書に『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)、『のどを鍛えて肺炎を防ぐ』(大洋図書)、『誤嚥性肺炎に負けない1回5秒ののどトレ』(宝島社)など多数。 イラスト/カツヤマケイコ 取材・原文/大石久恵