開放感あふれる「楽園」で、寛ぎの時間を。インテリアデザイナー、サラ・ラヴォワンヌの別荘訪問!
フランスの暮らしに根付く"暮らしの美学"、アール・ドゥ・ヴィーヴル。その精神を体現するアーティストの別荘を訪問。インテリアデザイナー、サラ・ラヴォワンヌが「パラディ(楽園)」と呼ぶ寛ぎの空間を案内してくれた。
素朴な小屋を陽気な配色に、 寛ぎの場を演出する。
大西洋とアルカション湾に挟まれた自然豊かな砂丘の半島は、幼い頃からサラ・ラヴォワンヌのなじみの地だ。彼女はこの別荘を「パラディ(楽園)」と呼んでいる。 「父の別荘があったので、子どもの頃、夏はいつもここで過ごしていたんです。開放感と安心感が入り混じった独特の空気感がありました。食卓はどの世代も分け隔てなく集うだんらんの場。陽を浴びた松の匂いや、この地方特有の金色の日差しに包まれながら、誰もが好き勝手におしゃべりをして。家の内装は簡素でしたね。自分の別荘もそれに倣いました」 父の前にも、祖父母がこの地に家を所有していたそう。だから砂丘近くの土地が4棟の小屋付きで売りに出されていたのを見つけた時、すぐに飛びついた。6年経ったいまもサラは毎年、夏を家族とここで過ごし、暇さえあれば充電に来る。
Garden
大きなベンチが置かれた屋外スペース。濃い紫のシートに濃淡のターコイズブルーのクッションが積まれ、壁の明るい黄色とコントラストを描く。ウッド、金属、陶器のサイドテーブルを置いた。鏡と肘掛け椅子には籐が使われている。さまざまな椅子とテーブルが庭のあちこちに。
「小屋はそのまま残し、配色にコントラストを利かせて個性を出しました。ブラジルのトランコーゾという町では、家が一軒一軒、異なる色に塗られています。これをヒントに簡素な木造建築のスタイルを決め、陽気に仕上げました。この別荘は、素の自分にいちばん似ている場所だと思います」 黄色く塗られた母屋に入ると、天然木の壁板が張られた広い空間。片側にはグリーンに塗装された長い木製テーブルがあり、陶芸家の友人による個性的なシャンデリアが吊るされている。棚には本や子どもの写真、花瓶、ロウソク立て、ボードゲームが無造作に置かれている。反対側に座り心地が良い赤いソファが据えてある。部屋の中央に暖炉があり、少し冷える晩には火を起こす。ここは誰もが寛げる空間なのだ。