なぜW杯ロシア大会でV字回復した日本代表人気は沈静化したのか?
田嶋会長に代表の人気問題を直撃すると……
過去の2大会は自身や本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)、不動のキャプテンを務めた長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)らが引き続き代表をけん引してきた。 南アフリカ大会後に台頭した香川真司(ボルシア・ドルトムント)を含めて、ほぼ同じ顔ぶれが長く主力を担ったケースは、日本代表の歴史でも稀となる。 しかも、実力だけでなくカリスマ性をも兼ね備えていた分だけ、コアなファンやサポーターだけでなく、老若男女を広く引きつける存在感を放っていた。 ただ、ロシア大会を戦ったチームの平均年齢は6度目のワールドカップで初めて28歳を超え、世代交代は待ったなしの状況となっていた。実際、ロシア大会後に長谷部は代表からの引退を表明。本田もカンボジア代表監督との二足の草鞋に挑戦中で、4年後のカタール大会は目指さないと明言している。 コーチとして西野ジャパンを支えた森保監督は、こうした状況を受けて世代交代と世代間の融合を所信として掲げた。初采配を振るった9月のコスタリカ代表戦では、ロシア大会の主力組をあえて招集せず、中島や南野、東京五輪世代の堂安を次世代の主役を担う候補としてピッチへ送り出した。 結果は3-0の快勝だったが、日本テレビ系で生中継された視聴率は12.3%だった。その後もパナマ戦が12.0%、ベネズエラ戦が12.6%、そして前出のキルギス戦と推移してきた数字に、あるテレビ局のスポーツディレクターは「2桁はキープしているけれど」と言い、こう続ける。 「ワールドカップで盛り上がった後に15%を超えないのは、ちょっと当てが外れた。本田や香川、長友らの有名選手がいないことがやはり大きいし、サッカーファン以外への若手選手たちの認知度がまだ低いのでしょう。ただワールドカップ前の停滞に比べると、まだ踏ん張っていると言える。ウルグアイ戦では17%も出ていますからね。ここが分岐点ではないでしょうか」 キルギス戦が終わった直後の豊田スタジアムの取材エリアで、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長にテレビの視聴率が伸び悩んでいる件を直撃した。 思うところがあったのか。田嶋会長は「必ずしも右肩上がりではない」としたうえで、こう言葉を紡いだ。 「ある意味で西野さんが(ロシア大会で)ああいう試合をしてくれたからこそ、いまここで踏ん張っていられる部分があるとは思っています。もちろん、我々もさまざまなところでもっと努力をして、サッカーを盛り上げていかなければいけないと思っています」