物議を醸した“南関東7車連係”に帝王・山田裕仁氏が見解「ファン目線では面白くないと思うが致し方なしか」/小田原競輪G3決勝
ファン目線では「面白くない」並びだが...
さて…この決勝戦については、さまざまな意見があって当然だと思います。「南関東7車連係」はレース前から物議を醸したようで、ネット上ではその是非をめぐって、多くの方が意見を述べられていますね。“興行”として考えた場合に面白いか面白くないかでいえば、そりゃあ「面白くない」ですよ。ファンがワクワクして、手に汗を握るような展開になるとすれば、脇本選手が南関東勢の思惑を粉砕するケースだけでしょうから。 別ラインの先頭が脇本選手だったのがまだ救いで、これが並の一流選手であれば、さらに面白味のない決勝戦になっていたはず。ただし、脇本選手が勝ち上がっていなかった場合にも南関東勢が7車連係を選んでいたかどうかは、実際のところわかりません。この場合、自分にも優勝できるチャンスが欲しいと考えた選手が、別線で戦うと主張していた可能性もゼロではないと思います。 しかし、結果として南関東勢は7車連係を選んだ。ファン目線だと、これはつまらない選択、自分が優勝するチャンスをみすみす捨てている選択にみえるかもしれませんが、選手目線だと「けっこう自然な話」なのですよ。現在の南関東や神奈川は選手の関係性がよく、いい空気を共有している感がありますから、なおさらです。記念の決勝で「同県」の仲間が分かれて戦うという考えは、基本的にはなかったのでしょう。 同県であっても、仲がよくないならば話は別です。実際、私が現役のときにも、選手層は厚いのに仲が悪く、強さのわりに与し易い印象の県や地区がありましたからね(笑)。そういった例外をのぞき、同県ならば連係するのが自然というのが、選手目線での考え方。しかも今回の神奈川勢は、郡司選手や北井選手、松井選手といった、南関東や神奈川に貢献大の選手ばかり。だからこそ、話がまとまったともいえます。 選択の余地があったとすれば神奈川勢ではなかった鈴木選手ですが、だからといって脇本選手の後ろは回れませんよね。単騎で脇本選手の番手を奪いにいく手もありますが、わざわざ競りにいくタイプでもないので、それも厳しい。となれば、南関東ラインの最後尾を固めるしかない…というのが、選手目線で考えた結果。一人の競輪ファンとしては「面白くない」と思いつつも、元選手としては「それも致し方なし」と感じる。それが、私の立ち位置からの感想ですね。