フォンテインズD.C.が語るスマッシング・パンプキンズやKornからの影響――最新作「Romance」インタビュー
このアルバムでは、ポップ・ミュージックやヒップホップからたくさんのインスピレーションを得たから、それでファッションも大胆になったんじゃないかな。例えばポップやヒップホップの世界では、派手なファッションは当たり前だけど、ギター・ロックの世界だとちょっと浮いてしまう。だからファッションを通じて、音楽とはまた違った形で自分を表現できることがすごく新鮮で興奮するんだ。ファッションって、音楽に新しいサウンドを生み出すインスピレーションになることもあると思うんだ。
――確かに、あのカラフルだけどダークで、ハイブリッドでエッジーなファッションは、今回のアルバムのサウンドのトーンと重なるものだと思います。
トム:このニュー・アルバムでは、エレクトロニックでシンセサイザー的な要素がたくさん取り入れられていて、大きな絵の具のパレットで絵を描くみたいに、より広大なサウンドスケープを創り上げたかったんだ。僕らは今回、90年代の音楽、特にスマッシング・パンプキンズのようなグランジにインスピレーションを受けつつ、一方でレイブ・ミュージックのエネルギーを加えることで、独自のサウンドを確立しようとした。さまざまな色を混ぜ合わせて、新たな色を生み出すようにね。派手な服を着てスタジオに入ると、自然と曲ももっとエネルギッシュになったり、新しいアイデアが浮かんだりするように、ファッションって感情や創造性を刺激してくれるものなんだと思う。
ニューアルバム「Romance」での新しい試み
――トムはプレスリリースの中で、今作は「初めてのスタジオ・アルバム」だとコメントしています。その意味するところはなんでしょう? というのも、フォンテインズD.C.の曲作りではこれまで一貫して、「スタジオの外でも再現可能かどうか?」というジャッジが不文律としてあったと思うのですが。
トム:その通りで、最初の3枚のアルバムでは、自分たちが持っている楽器でライブ演奏できない曲は作らないという、ある種のルールを強いていた。逆にいうと、それが自分たちに制約を課していたところがあったと思う。でも、今回のアルバムではもっと自由に音楽を作りたかった。ストリングスやシンセサイザーをたくさん重ねて、より複雑で奥行きのあるサウンドにしたかった。だから、以前のような制限を設けずに、曲作りに没頭して、僕らが感じるままに多くのレイヤーを追加していった。ライブでどう演奏するかは後で考えよう、ってことにしてね(笑)。