【異例の45分マッチが再燃させた、J1川崎の熱さ(1)】「いつもと違うチャレンジになるけど、後悔したくない」選手の心に残った鬼木監督の言葉と、通常とは異なる事前準備がもたらしたもの
■試合を動かした技ありのゴール
試合前の段階で息が上がるほど戦闘準備を整えていた川崎は、いきなり100%以上の力を出して浦和を攻守両面で圧倒した。そして、キックオフから10分後、数えて55分に川崎の同点ゴールが生まれる。ネットを揺らしたのは小林だった。 敵陣の左サイドで獲得した直接FKが右サイドへ流れ、敵味方の誰よりも早くこぼれ球に追いついたDF佐々木旭が、後方のMF家長昭博へ戻す。家長のシュートは相手にブロックされたが、跳ね返りをすぐにMF橘田健人が左へ展開する。 直接FKを蹴ったDF三浦颯太のもとへ戻ったボールは、インスイングから再びゴール前へ。落下点に入り込んだ小林が、DFマリウス・ホイブラーテンとの競り合いを制し、落ちてくるボールを突き上げるような形で頭を合わせた。 「ボールが来そうだな、という場所にいつもいるようにしているし、あとは味方の立ち位置などを見ながらポジションも取り直したりしているので。そこは自分の経験やポジショニングのよさもあって、難しいボールをうまく当てられました」 浦和の守護神・西川周作の頭上を、やや山なりの軌道で越える技ありのJ1リーグ通算142ゴール目。その後は両チームともにゴールを奪えず、1-1で引き分けた異例の一戦を、浦和のスコルジャ監督のひと言が端的に物語っていた。 「非常に残念な試合だった。私にとっては、敗戦のようなものだ」 もっとも、優位に立ち続けた川崎にも実は異変が生じていた。 (取材・文/藤江直人) (後編へ続く)
サッカー批評編集部
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