関東大会を決めた明秀日立「向かってこられる立場」背番号10がチームを上のステージに押し上げる
明秀日立の10番を背負い、キャプテンマークを腕に巻いたMF竹花龍生(3年)が、ゲームパンツを捲し上げ、ピッチ上の誰よりも太い太股を見せながら、同点ゴールを叩き込んだ。 【フォトギャラリー】明秀日立 vs 東洋大牛久 令和6年度関東高校サッカー大会茨城予選の準決勝が5月8日にト伝ノ郷運動公園で行われ、明秀日立がPK戦の末に東洋大牛久を下し決勝に進出。2年ぶりの関東大会出場権も獲得した。 序盤こそ左サイドを中心に相手を押し込んだ明秀日立だったが、時間の経過とともに相手にペースを握られた。気合十分で挑んでくる東洋大牛久イレブンに対して、一見落ち着いて対応出来ているように見える明秀日立だったが、競り合った後のセカンドボールを拾えなくなったことで、攻撃も単調になってしまっていた。 そしてスコアレスのまま後半が始まり、これから終盤を迎えるという52分、背番号10に声が掛かった。 「(東洋大牛久がパスを)回してきたり、サイドから内に入ってくると想定していたんですが、思ったより蹴って来ていた。上手いなと思って見ていました」と自分たちを研究し戦ってきた相手との戦況を、ケガの影響もあり、前半をベンチから見守っていた竹花。 「去年も途中から出て活躍出来ていた」と昨年のイメージを持ちながらピッチに入った竹花は、前線から中盤まで広いエリアに顔を出し、ボールを引き出した。それにより、それまでは前線に蹴ってしまっていた場面でも一度竹花が収めることで、周りもポジションを上げることが出来るようになった。 そして竹花が潤滑油になった明秀日立は60分に先制点を奪取。しかし「自分が出てから点も入ったので、勝てるかなと思ったら」東洋大牛久も意地を見せ、72分に同点に追いつかれてしまう。さらに延長後半には逆転ゴールも許し、追い込まれた明秀日立。 しかし、延長戦も残り1分となったところでFW25鈴木優斗(2年)がPKを獲得。大事な場面でキッカーを任された竹花はこれをキッチリ沈めた。その後のPK戦を4-2で制し、明秀日立がなんとか勝利した。 薄氷を踏むような勝利だったが、それでも「PK勝ちも含めて勝ち切るのが自分たちの強さ」と、竹花は意に介さず。その表情からは、"こんなところで負けていられない"というような空気が漂ってきた。 明秀日立は昨年のインターハイで全国制覇を成し遂げたことで、今春は新チームが青森山田などの強豪が集まるサニックス杯に出場。ヴィッセル神戸U-18も同居したグループリーグを1位で突破すると、順位決定1回戦では大津に0-4と大敗を喫したが、3位決定戦では市立船橋を破り、3位という上々の結果も残した。 プレミアリーグの強豪との試合を体験し、手応えや自信を得た半面、「サニックスの時はこちらが向かっていく方なので、自分たちの良さが出せたんですが、県内になると向かってこられる立場になるので、難しさはある」県内では鹿島学園とともに2強と言われる立場。向かっていくことで良さが引き立ってきた明秀日立にとってはストロングを出しづらいのだ。