Bloomberg

（ブルームバーグ）： 米鉄鋼メーカー、クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者（ＣＥＯ）は５日、同業ＵＳスチールの資産買収に引き続き関心があると述べた。これを受けてＵＳスチール株は通常取引終了後の時間外取引で一時2.9％高となった。

ゴンカルベス氏はＣＮＢＣとのインタビューで、日本製鉄による141億ドル（約２兆190億円）でのＵＳスチール買収計画がとん挫した場合、同社資産について入札の意向があるかとの質問に対し、「もちろんだ」と答えた。

その上で、ＪＰモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴと共に計画を巡って取り組んでいると語った。ＵＳスチールとクリーブランド・クリフス、ＪＰモルガンにコメントを要請したが、返答は得られていない。ウェルズ・ファーゴはコメントを控えた。

ゴンカルベス氏はパッケージの詳細には踏み込まないとコメント。一方で、クリーブランド・クリフスとして全米鉄鋼労働組合（ＵＳＷ）にコミットしているとも話した。前日には、バイデン大統領が日鉄によるＵＳスチール買収計画を阻止する準備を進めているとブルームバーグなどが報じていた。

一方、クリーブランド・クリフスがＵＳスチールの買収を目指すとしても、幾つかのハードルがある。まず、米国内の鉄鋼生産が単一の企業に集中することにつながり、反トラスト法（独占禁止法）上の懸念が生じる。

クリーブランド・クリフスは現在、カナダの同業ステルコ・ホールディングスを28億ドルで買収するプロセスを進めている。

このほか、鉄鋼価格の下落を背景とした財務面の問題もある。ウルフ・リサーチのアナリスト、ティムナ・タナーズ氏はクリーブランド・クリフスについて、「今のところ鉄鋼価格は極めて軟調で、少なくとも容易にその種の取引を近く行う資力はないと考えられる」と話した。

原題：US Steel Rises as Cliffs CEO Says He’s Still Interested (2)、US Steel Rises as Cliffs CEO Says He’s Still Interested in Firm、Cleveland-Cliffs Still in Market for US Steel: CEO on CNBC (1)（抜粋）