未来の感染爆発の予想も可能に!? 今後、AIが健康にもたらす影響
伝染病の発生が予測できるようになる
新しい疾患に関する重要な情報は、世界中のニュース番組、保健所の出版物、オンラインのメディカルジャーナルなどに散らばっている。臨床医学誌『Medical Science Monitor』に掲載された論説によると、AIのアルゴリズムは、このような情報を全部きっちり整理して、パンデミックを引き起こす可能性のある細菌にフラグを立てることができるそう。 この論説によると、オンラインの感染症監視システムは、新型コロナウイルスの感染拡大警報が世界的に出される前の2019年12月の時点で、肺炎に似た症状がクラスター発生していることを突き止めていた。その時点でAIが普及していれば、疫学者たちがAIからのパンデミック警報を受け取って、もっと早く新型コロナウイルスを特定し、その感染拡大を遅らせる、あるいは止めることができたかもしれない。
いまよりも効率がよく、患者にやさしい医療の提供が可能になる
医師には患者のカルテと保険金の請求に必要な情報を文書化する義務があるので、診察まで何週間も何ヶ月も待ったのに、医師がパソコンの画面ばかり見ていることは少なくない。こうした現状を受けてBJCヘルスケアは、クリニックを訪れた患者と医師のやりとりをAIに記録させ、医師が患者に集中できるようにするためのシステムを実験的に使用している。マドックス医師いわくAIの精度はかなり高く、診察後にAIが作成した記録を読んだ医師たちは、ちょっとした修正を2~3ヶ所加えるだけで済んでいる。さらにAIは、患者の言語と読解力に応じた診察のサマリーを生成することもできる。マドックス医師は、診察時間の数分前にAIに患者のカルテをまとめさせ、患者の悩みを把握したうえで診察に入れるようにしたいそう。 専門家の話では、AIによってスケジュール管理も大幅に改善される。午前10時に始まるはずの日帰り手術が午後3時になっても始まらないときのイライラは言葉にならない。医師は、予定される処置の複雑さや、麻酔科医の予約状況などを可能な限り考慮したうえで日帰り手術の時間を決める。いまはそれでも待たされることがあるけれど、マドックス医師いわくAIは、患者の病歴やデータを含む膨大な情報に基づいて、より正確な判断をしてくれる。それに加えてAIは、1人ひとりの患者に必要なフォローアップ検査を把握して、その予約を入れる作業にも活用できる。この作業は非常に煩雑なので、現在は多くの人が見落とされているけれど、「AIは私が受け持つ全患者の情報を5分でチェックし、検査が近い人を教えてくれます」とシュワン医師。「そのおかげで私のアシスタントは遅滞なく対象者に予約の電話を入れられます」