なぜ?慶大・広池浩成がSNS発信を毎日続ける狙いとは 父は元広島左腕投手で西武球団幹部の浩司氏 156キロ記録動画も
東京六大学野球の慶大・広池浩成投手(2年・慶応)は11月末にインスタグラムのアカウントを開設し、自身の投球やトレーニングの動画など、ほとんど毎日の投稿を続けている。狙いの一つが、大学野球の発展だ。元広島投手の浩司氏(51、来年1月から西武球団本部長)を父に持つ剛腕が発信を通じて伝えたいこととは-。 小さな一歩が、大きな進歩につながるかもしれない。広池は11月30日の初投稿からほとんど毎日、アカウントを更新。フォロワーは1カ月足らずで6400人を超えた。 投球の記録をはじめとし、トレーニング方法やドリルの紹介など動画の内容はさまざまだ。それぞれにポイントや課題を記し、フォロワーからの質問にも回答。有識者からの助言も求める。12月11日には、ベースボールジムで156キロを記録したという驚きの動画も投稿。自身の成長はもちろん、「精度の高い情報や技術的にレベルの高い動画を継続的に発信し、他の学生に影響を与えること」という目的のもと積極的に発信を続ける。 もう一つの大きな狙いは、大学野球の発展だ。かつてはプロ野球にも引けを取らない人気を誇ったが、現在は早慶戦などの人気カードを除けば、プロや高校野球と比べると注目度は劣るのが事実。それだけに「もったいない。大学野球はすごいポテンシャルのある部門」と話し「プロモーションという意味も含め、大学野球自体の社会的な価値を上げたい。僕以外の選手でも、『こんなすごい投手がいるんだ』『あの投手が今度、東京ドームで試合するんだ、行ってみるか』みたいな…そういう誰かの一歩になれば」と意図を語った。 アメリカのカレッジスポーツにも触発された。「高校の時に上田誠さん(慶応前監督で現在は四国ILp・香川の球団代表)にスポーツビジネスの授業でカレッジスポーツのことを学んで、ちょっとした卒業研究とかもして」。アメリカでは大学生によるスポーツがアメリカンフットボールやバスケットボールを筆頭にプロスポーツをしのぐ人気を誇る。ビジネスとしての側面を持つという点で大きな違いがあるものの、多くの学生が応援へかけつけ、地域を巻き込んで盛り上がる光景は理想とするところだ。 ただ、「まずは自分が頑張ることが一番」と強調する。今秋は9月15日・立大2回戦でリーグ戦初先発を果たし、7回1失点で先発初勝利。体重は今春から10キロ近く増やし、球威向上につなげた。年内最後のオープン戦となった12月15日の日大戦では最速153キロを計測するなど3回無失点。リーグ戦後もさらなる成長を遂げている。目標は「プロ野球選手」と、父と同じ舞台だ。 大学野球の発展が、ひいては日本球界の発展にもつながると話す右腕。「少しずつですね。やらないよりやってみようと思って。自分も見られていると良い意味でプレッシャーになります。第一段階として、リーグ戦に来てくれる学生が増えたらうれしい」。球界の未来を担う20歳が大志を抱き、腕を振る。(デイリースポーツ・間宮涼) ◆広池 浩成(ひろいけ・こうせい)2004年10月27日生まれ、20歳。広島県出身。右投げ左打ち。180センチ、90キロ。慶応から慶大へ進学し、1年春にリーグ戦デビュー。ここまで通算12試合に登板し2勝2敗、防御率5・19。父は元広島の左腕投手で現・西武球団副本部長兼編成統括の浩司氏。