「ネットとリアルの融合」で躍進した国民民主党、研究したのは石丸伸二氏 SNSと人流データが示す今後の選挙戦略とは?【データ・インサイト】
玉木氏も躍進が判明した直後の記者会見で、石丸氏の手法について「ずいぶん研究し、参考にさせてもらった」と述べている。10月26日の東京駅でのマイク納めの演説では「私の写真を撮って、動画でもいい。それを拡散してください」と呼びかけた。都知事選で石丸氏が訴えた言葉だ。 ▽ネット選挙は比例票に影響 今回の衆院選で国民民主党が比例代表で617万票を獲得したことは既に書いた通りだ。では、小選挙区での総得票数はどうだったのか。234万票だ。小選挙区と比較して380万を超える票を、比例で獲得したということになる。 国民民主党の立候補者がいなかった選挙区で相当数の「国民民主票」が投じられたのだ。ネットコミュニケーション研究所の中村代表は、政党代表らのSNSフォロワー数や動画視聴数の伸びは「比例票の動向に影響する可能性が高い」と述べている。 それも納得だ。選挙区に候補者がいなければ、政党代表らはなかなか街頭演説に足を運ばない。応援する候補者がいないからだ。一方で、ネットではスマートフォンやパソコンを持つ全国の有権者にアプローチできる。街頭演説のネット中継の視聴者数は、時にリアルの動員数の何倍にもなる。こうした「飛び道具」が、政党や代表の人気に影響されやすい比例代表の得票を左右する時代が本格的に来たのかもしれない。
来年夏には参院選が待ち受けている。比例代表が衆院選のように全国11ブロックに分割されておらず、まとめて集計される参院選では、ネットでのアピールがより影響力を増す可能性がある。また参院選の選挙区は都道府県単位か2県にまたがり、候補者の活動範囲は知事選規模か、それ以上になる。選挙区で戦う候補者にとってもSNS戦略は欠かせないものになるとみられる。 では、どんなやり方が効果的なのだろう。中村代表の見解はこうだ。「今後は、単なる情報発信にとどまらず有権者と直接対話を行うなど、より身近に感じてもらえる動画配信の活用が支持拡大の鍵となるだろう」