「ネットとリアルの融合」で躍進した国民民主党、研究したのは石丸伸二氏 SNSと人流データが示す今後の選挙戦略とは?【データ・インサイト】
衆院選(10月27日投開票)は自民党、公明党が合計獲得議席で過半数を割り込む大敗を喫した。対照的に、議席を4倍に伸ばして脚光を浴びたのが国民民主党だ。一躍、永田町の「キャスチングボート」を握る存在となり、玉木雄一郎代表の注目度は急上昇している。 【写真】史上初、元法務大臣の河井克行氏が見た刑務所の世界 「次は良い大臣になるよ」その言葉の真意とは?そして現在、妻・案里氏との関係は…
躍進の要因について玉木氏はこう語る。「インターネットとリアルの融合が起きた」。選挙戦では、SNSや動画の生配信で有権者との直接対話に力を入れた。親近感のアピールと、「手取りを増やす」とうたった生活者目線の公約を浸透させることに成功。街頭演説には多くの聴衆が詰めかけた。玉木氏いわく、参考にしたのは7月の東京都知事選でSNSや動画配信を駆使し支持を拡大した石丸伸二氏だった。 来年の夏には参院選を控える。ネット選挙はどこまで影響力を伸ばすのだろうか。専門家はこう指摘する。「SNS戦略は比例代表の得票に影響する可能性が高く、政党が本気で対応しなければならない時代になった。動画配信を通じた有権者との直接的な対話が鍵になる」(共同通信衆院選データ分析班) ▽国民民主党の比例議席は5倍超 今回の衆院選で、国民民主党は28議席を獲得した。公示前の7議席から4倍も増えた。このうち11議席が小選挙区、17議席が比例代表だ。小選挙区では、埼玉14区で公明党の石井啓一代表(当時)を公認候補が破った。
小選挙区以上に目を見張るのは、比例代表での躍進ぶりだ。得票は前回2021年の衆院選の259万票から倍以上となる617万票に急伸し、獲得議席は前回の3議席から5倍超。北関東ブロックと東海ブロックでは獲得議席が候補者の人数を超えてしまったため、計3議席を他党に譲ったほどだった。 ▽裏金事件で躍進? なぜこれほど躍進したのか。派閥裏金事件を起こした自民党に「逆風」が吹き荒れていたという事情はもちろんある。特に、裏金事件に関与して自民党が非公認とした候補者が支部長を務める政党支部に対し、自民党本部が2000万円の「活動費」を支給していたことが明るみに出たことが「だめ押し」(自民党関係者)になった。 今回の投票率(小選挙区)は53・85%と前回2021年より下がったのを見ても、投票に行く人が増えたから国民民主党の得票が増えたというより、与党支持層や無党派層の一部が国民民主党に票を投じた可能性が高い。