米雇用者の伸び回復、ハリケーンとストで急減速後-失業率は上昇
(ブルームバーグ): 11月の米雇用統計では、ハリケーンと大規模ストの影響で前月に急減速していた非農業部門雇用者数が回復を示した一方、失業率は上昇。労働市場は著しく悪化はしていないものの、減速傾向にあることが示唆された。
このところ雇用統計の数字は振れ幅が大きかったため、エコノミストは3カ月平均を注視するようになっている。非農業部門雇用者数の3カ月平均は17万3000人増に伸びが拡大した。ただ、今年に入って見られた堅調なペースに比べると一段低いペース。
失業率が前月に比べて上昇し、長期失業を示す指標も3年ぶり高水準となるなど、労働市場の冷え込みも示唆された。金融市場では、今月17、18両日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では追加利下げが行われるとの見方が強まった。
今回の雇用統計では、雇用市場は引き続き堅調だが、もはやインフレの大きな要因にはなっていないとの米金融当局の見解が裏付けられた格好。物価上昇圧力は過去数カ月高止まりしているが、当局者は景気を刺激しつつ雇用を維持するために金利を引き下げ始めている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、FOMCが9月に0.5ポイントでの利下げを開始すると決定したのは、当局が労働市場を支援するという「強いシグナル」を送る意図もあったと語った。FOMCは11月会合では0.25ポイントの利下げを決定し、最近は一部金融当局者から利下げ休止時期が近い可能性を示唆する発言も出ている。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トゥーム氏は「ハリケーンやストで影響を受けた10月からの回復が鈍かったことは、基本的なトレンドが引き続き悪化していることを示唆している」と指摘。追加利下げの論拠は強まったとの見方を示した。
17、18両日のFOMC会合までには、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、小売売上高の発表がある。