いくら乗っても「同じ府県から出られない」長距離・長時間列車 例えば、長野発飯田行きは4時間43分もかかる
東海道本線に熱海と浜松を結ぶ普通列車が多数運行されている。1日の運行本数は熱海→浜松で平日26本、土休日27本、浜松→熱海で33本。昼間は約30分おきに運転されている。 【100枚の写真で振り返る】南正時氏撮影、只見線を走るキハ58系の急行「奥只見」から登場時のキハ183系「おおぞら」まで、“国鉄が生んだ気動車”の数々。 全区間をおよそ2時間30分かけて走るこの列車の大きな特徴は、最初から最後までずーっと静岡県内を走ること。2時間30分も走り続けるにもかかわらず、一度も県境を越えないということだ。 ■「いつまでたっても静岡県」より長い列車もある 青春18きっぷを使って東京から名古屋、京都、大阪方面へ出かける人の中にSNSなどで「いつまでたっても静岡県」と書き込む方がいるが、その静岡県内の広さを存分に(? )味わうことができるのが熱海と浜松を結ぶ普通列車といえるだろう(この冬からは青春18きっぷの仕様が変更されるため、書き込みは減ると思われるが)。
このような最初から最後まで同じ県内を長時間走り続ける列車を時刻表で探してみると、熱海ー浜松間の普通列車を越えるものが結構な数見つかった。そこで今回はJTB時刻表10月号で見つけた一度も府県境を越えない長距離列車、長時間列車を紹介したい。ただ、面積が広く、在来線の列車はすべてほかの県に行かない北海道ではこうした列車が多数あるので、北海道以外の列車をピックアップしてみた。 東京近郊で手軽に乗ることができる県内完結の列車は、千葉県のJR内房線・外房線を走る木更津ー上総一ノ宮間を走る普通列車だ。房総半島の南側をぐるりと回るこの列車は、1日に木更津→上総一ノ宮で10本、上総一ノ宮→木更津で8本運転されている。単線区間を走り、列車の行き違いなどで長時間停車するものもあることから、全区間走破の所要時間は2時間52分~3時間33分と列車による差が大きい。
全区間が「東京近郊区間」という、一筆書きのルートで遠回りした場合でも最短距離の運賃が採用される特例区間なので、東京から京葉線で蘇我、内房線で木更津へ向かいこの列車に乗車、上総一ノ宮まで乗り通したあと、外房線で大網、東金線で成東、総武本線で都内へ向かい、新日本橋で下車すると150円、ICカード利用の場合は146円でこの「乗っても乗っても千葉県」な列車に乗車できる。 熱海ー浜松間の普通列車と対をなす存在といえるのが、山陽本線の岩国ー下関間を結ぶ普通列車だ。1日に岩国→下関で16本、下関→岩国で17本運転されるこの列車は山口県内の山陽本線をひたすら走る。