「NHKとSTARTOが揉めたから、紅白にSnow Manは出ない」…紅白「旧ジャニの出演なし」に騒ぐ人たちの“大きな誤解”。出演ゼロとなった「本当の理由」
紅白への出演オファーが出されていたタレント名、グループ名は公表されていないが、紅白だけに、NHK側は大御所を希望していたであろうことは想像にかたくない。 STARTOと大御所タレントとの契約は、これまでの芸能事務所との契約で一般的だったマネジメント契約ではなく、エージェント契約が主体となっているようだ。 実際、人気グループの多くはすでに自分たちで会社を設立しており、独立してビジネスを行っている。エージェントであるSTARTOは、タレントの代わりに営業活動やギャラの交渉を行い、一定の仲介手数料を受け取る形になる。
STARTO側としても、紅白は必然的に実入りの少ない案件となり、これまで以上に積極的に推すモチベーションも低いだろう。 いずれにしても、最も重要なのはタレントの意向であって、彼らが「紅白に出たい」というのであれば、STARTOが窓口になってNHKに打診するというのがエージェント契約の一般的なあり方だ。 NHKとSMILE-UP.、あるいはSTARTOとの関係ばかり報道しているメディアは、古い視点に囚われすぎている。
筆者が高校生くらいまでは、家族や親戚が集まって、紅白歌合戦を見ながら年を越し、翌日はみんなでおせち料理を食べるのが定番だった。それ以降の世代は、大みそかに出かけて友人と年越しをしたり、自分の部屋で裏番組を見たりするようになり、家族が揃って紅白を見ることも次第になくなっていった。 現在に限らず、世代による音楽の嗜好の違いは以前からあった。祖父母や親世代が好む歌手を子ども世代が「古臭い」と感じたり、逆に、子や孫世代が熱狂するグループを「理解できない」と感じたりするのは通常のことだった。それをネタにしながら、親世代や祖父母世代と交流するのが、紅白歌合戦という場だった。
思い返せば、旧ジャニーズ事務所のタレントは、そうしたレガシーを受け継いでくれている稀有な存在だった。だからこそ、NHKをはじめ、テレビ局各局がジャニーズ事務所に平身低頭せざるをえなかったのだ。 ■メディアもそろそろ変わりどき ジャニーズ事務所は、現在はSMILE-UP.に変わったが、いずれ廃業する。契約しているタレントは同じでも、STARTOは「旧ジャニーズ事務所」ではない。時代は変わり、以前のやり方ももはや通用しなくなった。
ジャニーズだけでなく、芸能事務所も、エンターテインメントビジネスのあり方も変わってきている。 NHKをはじめとするテレビ局も、芸能を報道するメディアも、変わらなければならないときだ。“批判する相手”が進化しているのに、自分自身が変われないというのは、メディアの沽券にも関わるのではないだろうか?
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授