石若駿とMELRAWに訊く、最強音楽プロジェクト「Answer to Remember」とは一体何なのか?
石若駿が率いるAnswer to Remember(以下アンリメ)は、あるとき突然立ち上がり、気づけばジャズシーンを席巻し、石若の数あるプロジェクトのなかでも主軸として定着していった。ただ、僕(柳樂光隆)はこのプロジェクトによるデビューアルバムが発表された5年前にもインタビューしているし、石若とは事あるごとに話をしてきたが、そもそもアンリメがどんなコンセプトで活動しているのか正直よくわかってなかった。 【写真ギャラリー】Answer to Rememberライブ写真(全7点) そこで今回は石若だけでなく、先ごろリリースされた最新作『Answer to Remember Ⅱ』で共同プロデュースを手掛けたMELRAWこと安藤康平にも同席してもらい、「そもそもアンリメとは?」という素朴な疑問から紐解いていくことにした。 かくしてプロジェクトの旗揚げから2ndアルバムの制作背景までじっくり語ってもらうことで、アンリメの特殊さ、いびつさ、凄まじさ、いろんなものが明らかになったはず。ちなみに『Ⅱ』は前作から飛躍的に進化したアルバムで、そうなったのはMELRAWの貢献が大きい。そのあり方にもまた、アンリメらしさが表れている。
アンリメは「ぬるっと始まった」
ー今更ですけど、そもそもアンリメってバンドなんですか? 石若:バンドになりましたね。前作を出して、ライブをしながら徐々に。 ーメンバーは固定で決まっている? 石若:そうです。ゲストシンガーも含めてメンバーになってきていると思います。途中からバンドにしたいと思うようになってきて、プロダクト感の多いレコーディングのやり方も全部人力でやろうとなってきた。その結果、バンドになりました。 ーもう少し掘り下げると、「石若駿 with Answer to Remember」みたいなイメージですか? それともスナーキー・パピーのように、絶対的なリーダーのマイケル・リーグはいるけど彼が率いているわけではなく、全員が対等なメンバーみたいな感じ? 石若:後者のほうが近いと思います。でも今まで、そういうことをメンバーと話したことってなかったですね。 MELRAW:そうだね。 石若:ぬるっとバンドになっちゃったかもしれない。 MELRAW:今回のアルバムに入る曲をライブでやりはじめて、新宿ピットインで、Taikimen(山﨑大輝:Perc)が入って俺もすごい大荷物でやったときがあったじゃん? 俺的にはあれがターニングポイントだったと思う。 石若:たしかに。新曲をやろうってピットインのスタジオでリハやって、みんなで持ち帰って。それが2年前のピットインの石若祭り3DAYSのアンリメ公演だったんだよね(2022年4月24日)。 MELRAW:そうそう。前作のレコーディングって(最終的に)何になるのかわかんないのに俺たち呼ばれてるから。 石若:ハハハ(笑)。 MELRAW:とりあえず「オリジナル曲を録りたいから、スタジオでプリプロやる」って言われて、みんなわけもわからずスタジオに呼ばれて。録ったやつが後になって「出ます」とか言われて。「あっ、そうなんだ」みたいな。だから、駿のなかでは構想があったんだろうけど、俺たちはよくわかってない状態のまま作ってたのが前作だった。 石若:そうだね。 MELRAW:最初は同窓会でお祭り騒ぎのライブをするだけ、みたいなところから、徐々にアンリメとして集まりはじめた感じ。そこから「自分たちがどんな歯車になればいいのか」わかってきたのが2年前くらいかなって。