働く母親は「迷惑」か。時短勤務がもたらす不公平感の問題 (桐生由紀 社会保険労務士)
■時短勤務×キャリアという第3の道を創る
仕事の評価を「働く時間の長さ」に着目しすぎると、そもそも働く時間に制約がある働く母親はいつまで経っても評価されず迷惑な存在のままになってしまいます。 「キャリアアップしたければ子どもを産まなければいい」「時短勤務では重要な仕事は任せられない」「時短勤務で昇格したいなんてわがままだ」などと言っていては、男性の利用者は増えず子供を産む女性も減っていくでしょう。 これからは、時短勤務の人にどのような仕事をしてもらい、どのように評価するのかという「時短勤務とキャリア」の視点が重要になってきます。 また、女性の収入と社会的地位の向上は本当の意味での女性活躍に繋がります。収入が上がれば家事のアウトソースや子供の教育機会などの選択肢が広がり、社会的地位が上がれば企業内の価値観の改善や制度の変更に影響力を持つ事が出来ます。 男性の育児休業の取得は徐々に増えつつありますが、育児休業より復職後の子育て期間の方が圧倒的に長く、育休後の働き方の課題はまだまだ手付かずになっています。 男女ともに仕事と子育ての両立が可能な働き方をしながらキャリアアップもしていける組織作りが大切です。 桐生由紀 社会保険労務士
【プロフィール】
大学卒業後、大手財閥系企業の管理部門業務に従事。第1子出産を機に専業主婦になるが、配偶者の急死により二人の子供を抱えてシングルマザーになる。Authense法律事務所に再就職し、法律事務所と弁護士ドットコムの管理部門の構築を牽引する。その後、Authense社会保険労務士法人を設立し代表に就任。現在は、弁護士法人でHR部門を統括しつつ、社会保険労務士法人の代表として複数のクライアントを支援している。プライベートでは男子3人の母。