家族4人で電気代は月4千円。「世界一脱炭素に熱い」アナリストのエネルギー自給自足生活#豊かな未来を創る人
── 最後に今の活動の先にどんな未来を思い描いているか教えてください。 エネルギーをみなさんにとってもっと身近なものにしたいです。ゲーム感覚で楽しめるくらいになれば、それを実感した人たちが勝手にイノベーションを起こしていくと思っています。そのためには、やはりいかに面白さや役立つことを伝えられるかだなと。 実は2社目で編集長としてYoutubeチャンネルを運営していたときは、開設から1年でチャンネル登録者数が4万人になったんです。多くの人が興味を持ってくれた要因として、当時同じ職場にいた雑誌の元編集長の言葉があります。それは「人を惹きつけるのは、面白いか役に立つかだけだ」という言葉です。これを聞いたとき、僕は本当にその通りだなと思った。単に「脱炭素を目指すべき」と言っても、仕事などで関わりがある人にしか振り向いてもらえない。いかに面白くて役立つ側面を提示できるかなんです。 米沢市で脱炭素による町づくりに着手した当初、「脱炭素」という言葉自体を知らない方も多くいらっしゃいました。そこで僕は「お宅の電気代を下げませんか?」という提案から始めてみたんです。その結果、アンケートに答えた約2100世帯のうち約900世帯が、「脱炭素をしたい」と回答。やはり、いかにこのテーマをそれぞれの生活に身近に落とし込めるかが大切だと実感しました。 僕自身、「地球を守りたい」という思いはもちろんありますが、そこを起点に活動をスタートさせた専門家ではありません。脱炭素はチャンスにあふれているのを伝えたいというのが起点です。僕は脱炭素の面白くて役立つ側面を知っている。それを入口にして、多くの人を巻き込んでいった結果、自ずとCO2が減らせる、サステナブルな社会になる、という流れが作れたら最高だなと。そのためにも、まずは僕自身がこのみなかみの地でエネルギー自給自足の日常を思いきり楽しみたいと思います。
取材・文 : 木村和歌菜 撮影 : 荒井勇紀