「大谷選手は悪くないのに…」何でもかんでも“大谷ハラスメント”と騒ぐ人たちに欠けた視点ーー煽るメディアにも責任がある
21日の緊急放送と人気番組の放送休止は、ひとえに「そのほうが視聴率獲得が期待できる」から行われたものでしょう。他局以上に視聴率獲得にシビアでマーケティングに長けた日本テレビが緊急放送したところに期待のほどがうかがえました。 「多くの人々に喜んでもらいたい」という大義名分もあるのでしょうが、一刻を争う緊急事態ではないのに人気番組を休止する以上、批判の声があがることはわかっていたはずです。 それでも緊急放送を決行したのは、やはり「大谷選手がリーグ優勝を決めたタイミングなら視聴率が取れる」という基準によるものでしょう。より利益につながりそうな選択をするのはビジネス上、当然の行為ですが、一方でメディアとしての信頼性が薄れかねないリスクを感じさせられました。
「見たいものを、見たいときに、見たい場所とデバイスで見る」ことが当然になり、テレビ番組もTVerなどで見る人が増える中、今なおリアルタイムで見てくれる視聴者は貴重な存在。 視聴率獲得につながり、ネット上の書き込みも期待できるなど、テレビ局にとっては重要なお客さんだけに、緊急性のない緊急放送と人気番組の放送休止は失望や怒りの感情を生むだけでしょう。 そもそも「不満の声があがるのは日本テレビの番組を楽しみにしていた人がいる」からであり、ファンサービスで応えて顧客満足度を上げるのがビジネスとしてのセオリー。もしそれが難しかったとしても、目先の結果を追う「視聴率ファースト」ではなく「視聴者ファースト」の姿勢も見せていかなければ大切な視聴者を失っていくでしょう。
■「野球ハラスメント」のリスクも これは試合中継だけでなく、日々放送されている報道・情報番組やワイドショーなども同様。すでに「視聴率が取れるから」と大谷選手の特集に放送時間の多くを割くことは「視聴率ファースト」であって「視聴者ファースト」ではないことに気づかれている感があります。 逆に大谷選手の活躍で盛り上がっているときだからこそ、「視聴率獲得を狙って扱いを増やすばかりではなく、扱うべきものをバランスよく構成できているか」、メディアとしての役割を問われているようにも見えます。