「大谷選手は悪くないのに…」何でもかんでも“大谷ハラスメント”と騒ぐ人たちに欠けた視点ーー煽るメディアにも責任がある
テレビと視聴者の間に関係性の明確な優劣や上下はなく、逃げ場のない閉鎖された環境でもないため、「嫌」「不快」と感じたとしても、それなりに回避することが可能。 そもそも放送は自分だけに向けて行われているものではないし、生活や健康などを害されたわけでもなく、権利侵害などの法を犯していないのであれば、ハラスメントとは言いづらいところがあります。 ■大谷選手から見たハラスメントに テレビ局としても大谷選手をフィーチャーすることはビジネス上の戦略であるうえに、特定の誰かに明確な損害を与えているわけでもなく、よほど批判の声が増えない限り、対応を変えないでしょう。
それはSNSの発達で匿名での発信が増え、テレビのような巨大メディアは批判を受けやすくなる中、このレベルの不満で戦略を変えていたら十分な収益が得られずビジネスが成立しづらくなってしまうからです。 また、「大谷ハラスメント」と実名を絡めて不満の声をあげることは、逆に大谷選手から見たハラスメントに該当しかねない行為。書き方によっては「嫌」「不快」にとどまらず誹謗中傷となり、名誉毀損が成立してしまう危険性もあるでしょう。
ただそれ以前に、個人の名前を勝手に使ってハラスメントを訴えること自体がモラルを問われ、自分の生きる社会をゆがめていく行為。たとえ匿名の書き込みだとしても自制が求められ、他者にも求める社会でありたいのではないでしょうか。 ワールドシリーズは最大でも残り7試合で終了し、盛り上がりは収まっていくわけですから、「1週間あまりの期間をスルーすればいい」というだけの話。同じスポーツのビッグイベントでも、オリンピックやサッカーワールドカップなどよりも期間が短いだけにこの程度をスルーできなければ、本当に「なんでもハラスメント」の生きづらい世の中になりかねません。
テレビ放送だけでなくネット記事もできるだけスルーし、「大谷ハラスメント」などとあおる見出しに乗せられて負の感情に流されないようにしたいところです。 この「スルー」はテレビ放送やネット記事だけの話でなく、職場や学校、飲食店や街頭などで大谷選手の話題が増えたとしても、「見ていないので」「知らないんですよ」とひと言伝えて切り抜ければいいだけでしょう。 ■リアルタイム視聴の大切な客を軽視 最後にもう1つふれておきたいのが、メディアのあるべき姿。