名古屋市長選挙 広沢一郎氏はなぜ大塚耕平氏を大差で破った? “選挙モンスター”が出ない選挙で「河村さんが乗り移った?」【チャント!大石邦彦が見た】
一方、大塚さんは市民税減税について「まずは効果を検証」名古屋城木造復元は「現状を把握して市民の声を聞いて検討」と玉虫色の主張を繰り返した。 また、市民給与800万円も「審議会に委ねる」という答えで、本人の意思が見えづらかった点も敗因の一つであったようにも思える。 給食費ゼロ、敬老パスの負担金ゼロ、がん検診代ゼロの「3つのゼロ」を訴えるなど、元国民民主の国会議員らしく「手取りを増やす」公約は市民の心に刺さりそうな政策だっただけに、それらを争点化できなかったことは誤算だったかもしれない。 ■投開票日3日前に「明らかな戦略ミス」 選挙戦中盤、「広沢さん一歩リード」との報道を受けて、広沢陣営は引き締めを、大塚陣営は戦略の練り直しを迫られた。 まずは、存在感を出そうとポスターを大塚さんの顔のアップに変え、訴える政策も給食費などの「3つのゼロ」をポスターに明記した。 このポスターを全て張り替えたというから、その組織力には舌を巻く。ちなみに、名古屋市内のポスター掲示板は2724か所もある。 また、地元の自民党の市議会議員の応援演説もスタート、さらに大塚さんの古巣・国民民主の玉木代表も駆けつけたが、これこそが既存の政治体制にNOを突きつけてきた河村さんの土俵に上がることにならなかったのだろうか。 陣営のひとりが「明らかな戦略ミス」と投開票日3日前に嘆いていたが、私は事実上の白旗と実感した。 結果は広沢さんが大塚さんに13万票差をつけての圧勝となり、河村劇場名古屋公演、主人公を代えて続くことになった。 ■「あの儀式で、河村さんからの引継ぎが完了した」 CBCテレビなどの合同出口調査の結果では、8割を超える有権者が河村市政で「良くなった」と評価していて、河村さんの後継者だからこそ広沢さんが選ばれた実態も浮き彫りになった。 選挙戦の締めは、河村劇場恒例の水かけ。最近は高齢の河村さんの体を考慮して水にお湯を混ぜているが、今回は河村さんの指示で大量の氷を入れての水かけだった。 「あの儀式で、河村さんからの引継ぎが完了した」引き締まった表情で語っていた。