4月の倒産件数は760件、24カ月連続で前年同月を上回る 4月としては4年ぶりに700件超え ― 全国企業倒産集計2024年4月報
2024年の倒産は1万件突破も視野
2024年4月の倒産件数は760件(前年同月610件、24.6%増)と、24カ月連続で前年同月を上回った。3カ月ぶりに前月を下回ったが、前年同月より150件多く、4月としては4年ぶりに700件超えとなった。負債総額は946億円(前年同月2088億700万円、54.7%減)と、2カ月連続で前年同月を下回った。負債トップは、土木工事などを行っていた㈲川越建材興業の36億円だった。 業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。増加率でみると、『運輸・通信業』(同25件→39件、56.0%増)が最も高く、5カ月ぶりに前年同月から50%を超える大幅増となった。『小売業』では「飲食料品小売」(前年同月14件→26件)が大幅に増加した。
円安の影響懸念、「物価高倒産」が高水準で推移
「利上げよりもまずは円安対策を」――。企業経営の現場からもこうした声が日増しに高まっていた。日本銀行がマイナス金利政策の解除を決めた3月19日、1ドル=150円台だった円相場は4月中旬から下旬にかけて円安ドル高が進み、4月29日には一時1ドル=160円台を付けた後、154円台まで上昇するなど乱高下した。政府・日銀による大規模な円買いドル売り介入があったとの観測が強まるなか、5月3日には一時1ドル=151円台まで急騰した。 急速な円安進行は輸出企業の利益を押し上げる半面、輸入価格の上昇を通じて家計の負担を増やすとともに、企業には仕入れコストのさらなる増加を招く。すでに賃上げや原材料高の負担が重く、価格転嫁が十分に進まず、事業継続が困難となる瀬戸際まで追い込まれている中小企業もある。2023年度の「物価高倒産」は837件と全倒産の約1割を占め、過去最多を更新。2024年4月の「円安倒産」は5件判明し、23カ月連続の発生となった。日米金利差を背景に円安基調は続くとみられ、今後も関連倒産が高水準で推移する可能性が高い。
企業倒産は4月までの累計で前年比2割増ペース
民間ゼロゼロ融資の返済開始は4月、最後のピークを迎えた。5万1423件にのぼる融資が元金据置期間を終え、多くの中小企業が借入金の返済に追われることになる。元金を返済した企業もあれば、借り換えや返済条件を変更した企業もあり、対応は分かれたことだろう。 2023年度の「ゼロゼロ融資後倒産」は699件で、前年度の1.5倍と過去最多を更新した。全倒産の8%にとどまるが、あくまで取材時に判明した件数のみカウントしているため、氷山の一角とみられる。民間ゼロゼロ融資約136万件の返済状況(中小企業庁「中小企業政策審議会金融小委員会」資料、1月末時点)をみると、「完済」は全体の14%に過ぎず、5月以降、返済見通しが立たず事業継続をあきらめる企業がさらに増えるおそれもある。 2024年1~4月の倒産件数(全国・全業種)は3064件となり、前年同期(2530件)を21.1%上回っている。円安、物価高、賃上げ、コロナ支援策縮小、伸び悩む個人消費など、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい。2024年の企業倒産は単純計算ながら、現状の「2割増」のペースで推移すれば、前年(8497件)を大きく上回る1万件突破も十分視野に入る。