国内景気は2カ月ぶりに「悪化」、原料費の高止まりや不十分な価格転嫁響く
TDB景気動向調査(全国)― 2024年4月調査 ―
帝国データバンクが2024年4月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.3ポイント減の44.1となり、2カ月ぶりに悪化した。 外国為替レートが一時1ドル=160円台をつけるなど34年ぶりの円安水準で推移するなか、原材料価格の高止まりや2024年問題への対応といったコスト負担増、不十分な価格転嫁などがマイナス材料だった。また同一地域内においても景況感の格差が拡大する傾向もみられた。 一方で、円安により活発なインバウンド消費を中心に観光産業が堅調だったほか、商業施設や小型の店舗などに向けた工事関連、人手不足に対応する各種サービスや省人化投資などはプラス材料だった。
10業界中6業界で悪化、原材料価格の高止まりなどが負担に
業界別では、『製造』を中心に10業界中6業界が悪化、『小売』など2業界が改善となった。原材料価格の高止まりなどが幅広い業種業界に影響した。さらに、急速な円安進行のほか、不十分な価格転嫁や人材確保のための賃上げは企業収益を悪化させるといった声が目立った。 なかでも、『製造』(39.7)は2カ月ぶりに悪化。「大手自動車メーカーの稼働停止が日常化しており、計画通りに利益が上がらない」(自動車部分品・付属品製造)といった声があがる「輸送用機械・器具製造」は2カ月ぶりに落ち込んだ。「鉄鋼・非鉄・鉱業」は自動車関連の悪影響のほか、工作機械の受注減少が続き2カ月ぶりに悪化した。さらに、仕入単価の高止まりや新設工事の伸び悩みなどから「建材・家具、窯業・土石製品製造」も2カ月ぶりに悪化した。『製造』は12業種中11業種で悪化となった。
10地域中6地域が悪化、観光産業は堅調も地域内格差の広がり懸念
全国を10の地域に分けてみると、『北関東』『中国』など10地域中6地域が悪化、4地域が改善した。都道府県別では28都府県が悪化、18道県が改善した。各地の観光産業はインバウンド需要がおおむね堅調だったものの、原材料価格の高騰や地域内格差の広がりなどが下押し要因となった。 なかでも、『北関東』(41.4)は3カ月ぶりに悪化した。「自動車部品メーカーの景況感が停滞したまま」など『製造』が2カ月ぶりに落ち込んだ。また宿泊関連では平日の稼働率が低く、週末に集中する傾向が表れた。規模別では小規模企業ほど大きく下落した。 他方、『北陸』(42.4)は2カ月連続で改善した。域内4県中3県が改善、1県が横ばいだった。インバウンド需要が好調な一方で、復旧・復興のスピードが懸念されるなか、「地域内格差が大きい」との声もあがった。 国内景気は、急速な円安の進行やコスト負担の高まりが収益環境を悪化させたこともあり、2カ月ぶりに後退した。