トヨタ・セリカXXは令和に乗ってもイイ! メーカー公認の“昭和のヒーロー”との再会に迫る
クルマとダイレクトに接している感覚が尊い
おおらかな持ち味は、このクルマの出自によるものだろう。 そもそもセリカXXは、「日産のフェアレディZみたいなやつを作ってほしい」という北米市場の販売店からのリクエストで生まれたモデルだ。未知数を意味するエックスをふたつ並べた“XX”という名称は、“Z”を意識したものだとも言われる。輸出名をスープラとしたのは、“XX”が映画の成人指定を連想させるからだ。 こうした経緯で、直4エンジンを積んでいたセリカを延伸してクラウン用の直6エンジンを積んだ初代セリカXXが78年に発表された。 初代XXはコノリーレザーのシートやスーパーサウンド・コンポをオプション設定するなど高級GT路線だったけれど、人気はパッとしなかった。そこで81年に、ルックスも性能もスポーティに振ったこの2代目セリカXXが登場、今度は大人気となった。 ステアリングホイールを握りながら時の流れを感じるのは、ちょっとした凸凹を越えたときのガタピシ音と、コーナリング中に伝わるボディのねじれだ。けれど、それも“味”だ。額のシワや白髪と同じように、40年近く走り続けてきた証だ。 そして、少し白髪が目立つようになった昭和のヒーローと再会して、ただ懐かしいだけでなく、クルマと人間の距離が近いことに感銘を受けた。クルマとダイレクトに接している感覚が尊い。 いい経験をさせてもらった、というところでA70のスープラ2.5GTツインターボ・エアロトップに乗り換える。スープラの垂直テイスティングはつづく。
文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)