神様招き農耕儀礼「あえのこと」 奥能登、復興拠点で収穫に感謝
石川県の能登半島北部「奥能登」の農家に古くから伝わり、国の重要無形民俗文化財に指定されている農耕儀礼「あえのこと」が5日、被災各地で行われ1年の収穫を感謝した。輪島市三井町では元日の地震で損壊した建物に代わり、ボランティアが復興拠点とする古民家に「田の神様」を招き入れ、風呂やごちそうを振る舞った。 あえのことは田の神様に感謝し、五穀豊穣を祈る儀礼。毎年12月5日に田んぼから神様を家に招き入れ、冬の間休んでもらい翌年2月9日に送り出す。 2009年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を契機に、三井町では地域住民らで実施している。接待役の「ゴテ(主人)」を務めた小山栄さん(74)は裃をまとい「神様1年間ありがとうございました」とくわで田んぼを掘った。 目を稲穂で傷つけ不自由とされる神様に向けて、ボランティアが作った仮設風呂や、住民らが用意した煮しめなどの料理について説明。支援物資として長野から届いたリンゴも供えられ「全国からの支援のおかげで今日を迎えられました」と語りかけた。