最盛期516店舗が現在340店舗、これがさらに減る…。大量閉店も免れなさそうな「ライトオン」の”子会社化”が意味すること
ライトオンが買われるのか――。 ライトオンでジーンズを「買った」経験のある人は多いだろう。その同社が他グループの傘下へと「買われる」ことになった。「Right-on」の看板で有名かつ馴染みの衣料品チェーンに対する買収が報じられた。 【画像】低迷していたライトオンの業績推移と、その割には減っていなかった店舗数 買い主は、タケオキクチなどを手掛けるアパレル大手・ワールドと、日本政策投資銀行だ。さきほど私は「買われる」という表現を使ったが正確には、両社が有している投資会社を主人公として、ライトオンを子会社化するため、同社の株取得を12月頃から進めるという。
業績悪化で事業継続が困難となったためであり、いわゆる友好的TOBだ。 ■1株231円なのに110円で売却 当稿の執筆時点である10月10日夜時点では株価は231円だが、1株110円での買い付けを進めるようだ(編集部補:買収の報道が流れた後、246円まで急騰)。 さらに全株買い取りと非上場化を目的とするものではないため、買い付けの下限を設定しており株式の約52%とした。上場の維持を目指すためのものだという。
ライトオンは声明を発表しており、「本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明する」ものの「当社の株主の皆様のご判断に委ねる」とした。 通常、子会社化による経営再建では、上場廃止が検討されることが多いが、上場維持の意思は投資家や市場への信頼感を保つ狙いがある。 ライトオンはワールド傘下で再建を図りつつも、外部からの資金調達や成長機会を確保し続ける可能性があるだろう。さらに、東証スタンダード市場におけるガバナンス強化のため、透明性の向上も期待される。
なお、8日夜のライトオンの2024年8月期決算説明会では、販管費の削減にも言及された。具体的な数こそ明かされなかったものの、「不採算店舗の大規模な退店」を断行するという。 ライトオンは現在、全国で340店舗あるが、最盛期の2015年8月期には516店舗を数えていた。24年8月期も、2店舗の出店と35店舗の退店で純減33店舗だったが、この先、どの程度まで減ることになるのか。 2020年に創業家から新社長が就任した。ただし新社長でも業績を改善させることはできなかった、というわけか。