最盛期516店舗が現在340店舗、これがさらに減る…。大量閉店も免れなさそうな「ライトオン」の”子会社化”が意味すること
■決算の推移を見ていくと… そこで、単独決算での推移を見てみよう。ここではあえて、本業の強さを見るために、売上高と営業利益を調査した。 10年の推移を見たものだが、ライトオンは新型コロナのだいぶ前から好調とは言いがたい。2015年には売上高が782億円で営業利益が23億円だったところ、2024年には売上高388億円、営業利益▲50億円(営業損失50億円)となっている。ライトオンは長期にわたる不振に悩んでいるといっていい。
他のファストファッションの台頭、そして消費者からするとジーンズやアメリカンな品揃えに対する訴求性の低下があったのは否定できない。細かなことは多々あるかもしれない。 しかし、何より売上高が減少している一点において苦境が伝わってくる。10年で売上高が半減してしまっており、これは助けを求めるのが自然といえるだろう。 ところでライトオンがワールドの傘下になるとして、どのような効果が考えられるだろう。発表資料等を強引にまとめると次のようになる。
(ⅰ)人材・業務支援面でのシナジー 経営層や人事・総務・経理など、バックオフィス業務の効率性と品質を向上させる (ⅱ)MD・仕入れ・調達面でのシナジー ワールドグループのMD設計や生産管理ノウハウを活用し、仕入れ・調達コストの改善を図る (ⅲ)情報システム・物流面でのシナジー 基幹業務システムや物流網の整備・統合し、効率化を実現する (ⅳ)店舗開発・運営面でのシナジー 店舗開発や運営ノウハウを共有し、効率的で高精度な店舗設計や出退店を可能にし、売り上げ拡大や機会損失を防ぐ狙いがある
(ⅴ)新規事業開発面でのシナジー ワールドグループのオリジナル商品企画やEC事業と、ライトオンの路面大型店運営の強みを融合し、相互に新規事業の開発を目指す (ⅵ)マーケティング・顧客管理面でのシナジー ワールドグループのデジタル顧客情報とライトオンの店舗顧客情報を活用し、マーケティングの効率化と顧客管理のシームレス化を図る 問題は売上高の低下だ。もちろん他の施策も否定されるべきものではない。ただ、このなかで売上高の上昇に寄与するものは、(ⅳ)や(ⅴ)だろうか。とくにプライベートブランドを増やす利益率の向上が期待される。