最盛期516店舗が現在340店舗、これがさらに減る…。大量閉店も免れなさそうな「ライトオン」の”子会社化”が意味すること
個人的な話だが、私の出身県である佐賀県にもライトオンがある。帰省のたびにぶらぶらとショッピングモールを歩くことがよくある。ライトオンもよく見に行く。しかし、購入にはいたっていない。 低価格競争に追随できなかったことが、業績不振の一理由ではあるだろう。ただ、それよりも、他のファストファッションの隆盛により、迅速に市場ニーズに合致した商品を供給できなかったり、他社の商品サイクルがより速かったりするために競争力を大きく損なったのが要因ではないかと私は思う。
さきほど挙げたとおり、ワールドが子会社化後に目指すのは、ライトオンの既存の店舗網を生かしつつ、自社のサプライチェーンのノウハウを導入することによる、ブランド価値の上昇だ。また、コスト面でもシナジー効果により、効率的なサプライチェーン・在庫管理体制を構築し、業績回復を狙っている。 もちろん、日本政策投資銀行との協力により、資金面での安定性が確保される点もライトオンの再建に向けた重要な要素となる。 ■ワールドとの連携で期待したい点
そのうえで、ワールドとの連携で期待したい点を述べる。そして、以降は凡庸な内容だ。しかし、凡庸な内容こそがもっとも重要なのかもしれない。くだらない進言がもっとも真実であるように。 まず、商品開発の迅速化と柔軟性が必要だ。ワールド傘下に入ることで、MD(マーチャンダイジング)ノウハウの活用は、ライトオンの商品開発において大きな強みとなるはずだ。 これにより、ファッション市場のトレンドを迅速に反映し、競合他社に負けない商品を提供できる可能性が高まる。
■大事なのは消費者のニーズを満たすことができるか さらに融合により生まれるプライベートブランドや限定商品などは、価格競争に巻き込まれるのではなく、品質やデザイン、ブランドストーリーといった付加価値を持たせることで、消費者にとっての魅力が高まる。 また、ライトオンは店舗網を生かした新しい顧客体験の提供も可能だ。ワールドとの連携で、デジタルマーケティングや顧客管理システムの強化が進められると、顧客の購買行動データを基にした個別の提案や、パーソナライズされた商品展開が実現する。