大学入試の女子枠は「男性への逆差別」か? 実施の40大学が語る「反応」と「課題」
この数年で急速に広がっているのが、大学入試の「女子枠」です。女子の入学者を増やすため、理工系学部を中心に導入が進んでいますが、世間からの注目を集めると同時に、さまざまな議論も呼んでいます。2024年1月時点で「女子枠」入試の導入を公表していた40大学にアンケート調査をした公益財団法人 山田進太郎D&I財団のリポートを紹介します。 【まとめて見る】「女子枠」を今年度、導入する予定の大学は…?
メルカリの創業者である山田進太郎氏が2021年に設立した山田進太郎D&I財団は、STEM(科学・技術・工学・数学)分野で活躍する人のジェンダーギャップに注目しています。理系分野への進学を検討している女子高校生らに向けて、STEM(理系)女子奨学助成金を給付する活動などを積極的に行っています。24年3月7日、大学の理工系学部における「女子枠」についての調査結果を発表しました。 女子枠とは、理工系などの学部において多様な人材を育成するために、女子限定の定員を設ける入試制度です。以前から名古屋工業大学(国立)や芝浦工業大学などが導入していましたが、22年に文部科学省が大学入学者選抜実施要項の中で「多様な背景を持った者を対象とする選抜」の工夫を奨励し、その例として「理工系学部における女子」と言及したことが追い風となり、23年度入試以降、理工系学部を中心に次々と女子枠が導入されました。23年度入試では、富山大学や名古屋大学など、24年度入試では東京工業大学、東京理科大学などが導入し、女子枠を実施した大学は計33大学にのぼりました。写真が24年度入試で女子枠を実施した大学です。
女子枠の設置については、学部のジェンダーバランスを改善し、学生の多様性が促進される効果が期待される一方で、「逆差別」「女子枠のスティグマ化(特定の人や集団に向けられる否定的で間違ったとらえ方)」といったネガティブな意見もあります。山田進太郎D&I財団は、その実態を客観的に評価するため、女子枠を導入している40大学にアンケート調査を実施し、「大学入試の『女子枠』がもたらす未来への変化とは? 理工系学部の『女子枠』実態調査2024」として公表しました。