大学入試の女子枠は「男性への逆差別」か? 実施の40大学が語る「反応」と「課題」
定員を下回った大学も
調査は24年1月4日~2月8日に実施し、24校から回答がありました。 24年度入試での女子枠入試の応募状況(5校は非公開等)は、「定員を上回る応募があった」33.3%、「定員数と同程度の応募があった」16.7%、「定員を下回った」29.2%でした。つまり、応募状況を回答した19校のうち12校が、「定員と同数程度」か「定員を上回る応募があった」と答えています。定員を下回った大学は、すべて24年度入試から導入したため、高校などへの周知が十分ではなかった影響も考えられます。
女子枠の導入によって期待した効果は、「学生の多様性の促進や学部の活性化」が87.5%と最も多く、次に「優秀な女子学生の獲得」(83.3%)、「学部におけるジェンダーバランスの促進」(79.2%)と続き、「女子学生が学びやすい環境ハード/ソフトの整備」(33.3%)や「一般枠の志願者倍率の増大」(12.5%)という回答もありました。 実際の効果について、24年度入試以降導入した大学は調査時点では結果が出ていませんが、それ以前から導入している大学ではポジティブな結果が出ています。 例えば、16年度入試から女子枠を導入した兵庫県立大学工学部では、女子比率が15年度までは10%だったのが、23年度には15%に上がりました。23年度入試から導入した名古屋大学工学部は、「元気な女子学生が多く、成績も上の中くらいで優秀」と回答しています。
学力への誤解も
その一方で、女子枠の導入に対して、「大学内外から否定的なコメントやフィードバックはありましたか?」という質問に対して、45.5%が「あった」と回答しました。「男性への逆差別になるのではないか」「大学のレベルが下がる」といった意見が寄せられたということです。また、女性から「女子だから入れたというレッテルを貼られたくない」というネガティブな意見が来た大学もありました。さらに、学内の理解を得るのが難しいケースもありました。「基礎学力を担保したうえで、工学への興味がどれぐらいあるかを見ているのだけれど、誤解もされている。そのことを丁寧に説明する必要がある」と答えた大学もある一方で、「課題は、学力のバラつきが大きいこと」と答えた大学もありました。「入試の一つの方法として認めてもらえるように尽力したい」という回答もありました。 こうした反応を避けるために、文部科学省は女子枠を実施する際の留意点として、ある学部で女子が過少であるなど「合理的な理由を説明できること」や、男女が同じ選抜区分(入試方法)で女子だけに何らかの操作を加えるのではなく、「選抜区分を分けて実施すること」などを挙げています。