山下舜平大、柴田獅子、山城航太郎...ドラフト指名続出! 福岡大大濠が誇る投手育成の極意
八木監督の20年を超える指導歴のなかでも、三浦は「打ちにくさ」の点で、山下と双璧を誇る。今季限りでDeNAを戦力外となったが、まだ24歳。現役をあきらめるような年齢ではない。 「三浦は打者が踏み込んできたら内角を攻めたり、外角への変化球で追いかけさせたりしていました。山下は縦の変化でしたが、三浦は横の変化で打者を打ち取っていました」 3つの方針の最後は「我慢」。若い頃は選手と一緒になり、手取り足取り指導した時期もあったが、最近は「少し我慢をするということがわかってきた」という。 転機は、立命大で同級生だった田中総司さんからの"金言"だった。田中さんは大学当時、最速145キロ左腕として注目を浴び、1999年ドラフトでダイエー(現・ソフトバンク)を逆指名して1位入団。しかし、左ヒジの手術や、サイドスロー転向などでフォームを見失い、わずか5年、5試合のみの登板で戦力外となり、現役を引退した。 「彼はプロに入って周りからいろんな指導をされ、それを取り入れようとして、僕らが知っていた本来の姿ではなくなってしまいました。そういう話を彼とした時に、『投手はすごく繊細なので、投げたいように投げさせた方がいい』と言われたことがずっと頭のなかに残っていました。それからはあまり詰め込みすぎず、自分で気づいてもらうまで我慢しています。自分で気づくことができた時に、グッと伸びていくという気がしますね」 【野手の練習もさせる】 ただ高校野球は、2年3カ月ほどの限りある期間で、甲子園出場を目標に活動をしていく。気づきがない選手に対しては「言いたいことが喉元まで来ることもある」が、目的は何かを考え、思いとどまるという。 「もっとこんな球種を覚えたら、この子にとっては"今"はいいのかなと思ったりもするけど、『いや、大事なのは"今"じゃなくて、この子の将来だ』とか...。もうずっと我慢している感じです(笑)。でも、基本心がけていることは『投げたいように投げろ』ということ。もちろん目標は甲子園ですが、目的は彼らの将来や人生です。だから、目標と目的が逆にならないようにやっています」