日本人がわかっていない「アメリカ経済」がなんだかんだ好調な根本理由、知られざるバイデノミクス成果とは?
アメリカの大統領選の出馬を断念したジョー・バイデン大統領。その経済運営については日本ではあまり語られることがないが、実はオバマ政権やトランプ政権とは明確に違う「特徴」があるという。カリフォルニア州立大学バークレー校のスティーブン・ボーゲル教授が知られざる「バイデノミクス」の実績を紹介する。 ■トランプ政権を上回る経済的な実績 バイデン政権は、GDPを成長させ、インフレを抑え込み、さらにインフレ率を大きく低下させることで、G7の他の国々と比べて、パンデミック後の経済の課題をうまく克服してきた。さらに、雇用や製造業への投資、連邦債務の増加、健康保険、子どもの貧困などに関する多数の指標を見ると、バイデン政権は、経済運営でトランプ政権を上回っている。
だが、多くのアメリカ人はこの実績を信用していない。『ニューズウィーク』誌の最新の世論調査では、アメリカ人の46%が、ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウスを去った2021年1月よりも経済は悪化したと考えているのに対し、33%が経済は改善していると回答している。 また、イギリスのガーディアン紙が5月に行った世論調査では、調査対象者の56%が、経済が景気後退に陥っていないにもかかわらず、景気後退に陥っていると考えていることがわかった。
49%は、S&P500株価指数が年間で12%上昇したにもかかわらず、下落したと思っているほか、49%は、失業率がほぼ50年ぶりの低水準である4%を下回っているにもかかわらず、50年ぶりの高水準にあると信じている。 ABCニュース/ワシントン・ポスト/イプソスの世論調査によると、7月時点でのアメリカ人による経済運営に関する評価では、トランプがバイデンを10%上回っている。トランプは8月の世論調査でも同様に、大統領選で対決するカマラ・ハリス副大統領に対して9%のリードを保っている。
これは、ハリス陣営にとって、現時点で彼女の勢いが好調であることを考慮しても、重要な課題だ。民主党は党大会で、バイデン、ハリス両氏の経済実績を守るために果敢な努力をしたものの、それだけでは深く根付いた認識を取り除くには十分ではないかもしれない。 ここれではっきりさせておくが、私自身は、好調な経済はすべて政治指導者の手柄である、あるいは低迷する経済はすべて政治指導者の責任である、と主張しているわけではない。しかし、バイデンンの効果的な経済運営と、それに対する一般的な認識との間の大きな乖離は、控えめに言っても不可解である。