日本人がわかっていない「アメリカ経済」がなんだかんだ好調な根本理由、知られざるバイデノミクス成果とは?
■バイデン政権の経済運営で評価が高かったのは? ヘザー・ロングとエイデン・バートンは、7月18日付のワシントン・ポスト紙で、トランプとバイデンの経済運営を17項目で比較した。その結果、インフレ、賃金、住宅購入、消費者心理、年収、株式市場との比較から、トランプの経済運営にインフレの点で優位性を与えた。 一方、バイデンの経済運営では、雇用増加数や経済成長、郡別の雇用、アフリカ系アメリカ人労働者、アメリカの製造業、産業別の雇用創出、住宅価格、起業促進、健康保険、子どもの貧困、連邦債務の点で優位性が認められた。また、不平等に関する点では、どちらにも明確な優位性は見られなかった。大雑把なポイント制度を採用するなら、バイデンが11対5で明らかに勝利したことになる。
アメリカ経済自体は、両大統領のもと、力強く成長してきた。パンデミック前のトランプ政権下で、インフレ調整後のGDP成長率は年間2.5~3%に達し、その後、バイデン政権下の2021年に6%近く、2022年に1.9%、2023年に2.5%の成長を記録している。 アメリカではパンデミック前に、トランプ政権下で670万人の雇用が創出されたが、パンデミック後は、同政権下で270万人の雇用が失われている。その後、バイデン政権下で1570万人の雇用が増えた。
ただ、バイデン政権下での好景気は高インフレと相まっている。インフレ率は、トランプ政権の4年間では15.4%だったのに対し、バイデン政権の最初の3年間では19.4%になった。 このこともあって、アメリカ人はトランプ政権下のほうが、経済がいいと感じていた。ミシガン大学消費者信頼感指数は、パンデミック前のトランプ政権下では72から101、バイデン政権下では50から88で推移したことが報告されている。 今年7月のアメリカの雇用統計は予想よりも弱く、失業率が4.1%から4.3%に押し上げられ、アメリカ、日本、その他の主要国の株式市場が下落する原因となった。しかし、市場は回復し、現在、連邦準備制度理事会(FRB)は経済活動を維持するために9月中旬に金利を引き下げると予想されている。