AKB48に憧れていた少女がプロレスの道へ 山下実優が振り返る東京女子でのデビューと、人生初の「絶望」を感じた試合
【武藤敬司、赤井沙希の引退試合に思ったこと】 ――2023年2月、武藤敬司さんの引退試合に出場。東京女子の提供のタッグマッチで東京ドームのリングに上がった時は何を思いましたか? 山下:初めての東京ドームのリングは、入場からすごくテンション上がりました。リング上からも意外と客席が見えて、「これが東京ドームか......」と感慨深いものがありましたね。でも何より、東京女子のメンバーと一緒にあのリングに立てたことが嬉しかったし、楽しかったです。 ――いつかは東京女子でも開催したいですか? 山下:不可能ではないと思います。2023年2月が、その第一歩だったらいいですね。武藤さんに感謝しています。 ――引退といえば、同年11月にDDTの赤井沙希選手も引退試合を行ないましたね。タッグマッチの相手として山下選手も出場しました。 山下:引退試合は特別ですし、戦いたい選手はいっぱいいたはず。その相手に選んでいただけて光栄でしたし、緊張もしました。赤井さんに関わってきたレスラー、スタッフやファンの気持ちを背負ってリングに立たないといけない責任がありますから。 試合中は、赤井さんが引退する実感が湧かなかったんです。でも、最後に私がスカルキックを決めた瞬間に目が合って。その目を見て「これが最後なんだ......」と思いました。 ――"介錯人"としての役割を果たして感じることはありますか? 山下:赤井さんは体力、スタイル、強さも保ったまま引退しました。その潔さがすばらしかった。「私も"強い山下実優"のままで引退したい」と思いましたね。 (後編:プロレスラー11年目で感じた「マンネリ」と進化 里村明衣子との 1対1、伊藤麻希とのタッグへの思いも語った>>) 【プロフィール】山下実優 1995年3月17日、福岡県生まれ。165cm。2013年8月17日、DDTプロレス両国国技館「DDT万博~プロレスの進歩と調和~」でプロレスデビュー。2016年1月4日、初代プリンセス・オブ・プリンセス王座を戴冠。2019年4月5日アメリカでSHINE王座の獲得と、プリンセス・オブ・プリンセス選手権の最多防衛記録10回に成功。2021年2月に伊藤麻希とのタッグ名を「121000000」(ワン・トゥー・ミリオン)として本格始動。2022年11月ロンドンでEVE王座を奪取。2023年3月に「121000000」でプリンセスタッグ王座を獲得し、同年6月にはアメリカで設立した新団体「Spark Joshi Puroresu」の初代王者になる。2024年9月、「121000000」でプリンセスタッグ王座2度目の戴冠。2024年11月にDDT UNIVERSAL王座を獲得。2025年1月4日、後楽園ホールでマーシャ・スラモビッチ&ザラ・ザッカーの挑戦を受ける。
大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi