42歳で乳がん発覚。抗がん剤治療でシャワー中に髪がゴソッと“取れる”感覚にゾゾッ
ゴソッと髪が「取れる」感覚にゾッ…
いつものようにシャンプーをして、少し髪を引っ張ると、ゴソッと髪が取れました。「抜ける」ではなく「取れる」感覚です。なんとも気持ち悪く、ゾッとしました。 その後また髪を軽く引っ張ってみると、同じようにゴソっと取れます。いつまでやれば終わるのか、同じように何度も引っ張って、気づいたら抜けた髪が山盛りになっていました。山盛りになった髪を見てまたゾッとしました。 キリがないのでいったんやめて、お風呂からあがりました。ものすごく気味の悪い体験だったので母に「抜けたぁ……」と伝えましたが、母は「分かっていたことだからしょうがないじゃない」とアッサリ。いや、あのときの気味悪さは、同じ経験をした人でないと分からない気がします。 あれだけごっそり抜けたので、自分はもう相当禿げているのかと思い、恐る恐る鏡をのぞき込むと、あれ? そうでもない。見た感じでは、髪の分け目がものすごく太くなったような状態で、全体的にいつもよりスカスカしていましたが、もともと毛量が多く、毛も太いせいか、ぱっと見そこまで抜けたようには感じませんでした。 調べてみたら、髪って10万本くらい生えているらしいので、1万本抜けたとしても9割残っているんですね。ほほう。 自分の中では気味の悪い体験だったので、翌日はできるだけ早くなくしてしまおうとせっせと髪を引っ張りました。自宅に戻ると、ふだん長い髪が落ちているのさえ嫌がる夫が気味悪がるのではというのもあり、母の家にいるうちに取れるだけ取ってしまいたかったのです。 結局自宅に戻るときには、かなりのスカスカ状態になりました。すべて抜けるわけではなく、襟足や前髪などは残っていました。これも回数を重ねるごとに徐々に薄くなっていくのだそうです。
ウィッグをつけて“がん友”とランチ
3週間に1度のサイクルで投与される抗がん剤。1サイクル目の脱毛では、全頭のウィッグもつけはじめましたが、髪がまだ残っていたので帽子と前髪ウィッグでしのぐこともできました。髪が抜けた自分の姿には驚きましたが、予期していたことなので開き直ってウィッグ生活を本格スタートさせて自宅に戻りました。 わたしより少し早く抗がん剤治療を始めたがん友に連絡してみると、やはり彼女もしっかり抜けてしまったそう。幸い、お互い体調は良かったので、ウィッグをつけてランチすることにしました。少しでも気分のあがることをしたかったのです。 久しぶりに都内でがん友と待ち合わせ。ウィッグ姿の友人を見て、お互いギャハハと笑いながら再会。お互いに「似合うじゃーん」と言いながら、わたしたちがウィッグをしているのは、わたしたち2人しか知らないと思うと、なんだか秘め事のようでワクワクしてしまう不思議。 そして、入院中のリハビリで出会ったころから豪快だったがん友は、レストランに入り、おもむろにランチビールを注文。 お酒好きのわたしでしたが、さすがに手術後からはお酒を控えていました。なので思わず、「抗がん剤中って、お酒飲んでいいの!?」とツッコミ。すると友人は「ダメって言われてないからいいのかなぁって、家で飲んでみたら大丈夫だったよ」と言います。 えっ、ビール飲みたい。と思いつつ、その場では具合が悪くなったら困るので控えました。