[MOM5014]東福岡DF山禄涼平(3年)_“日本一のCBコンビ”で静学封じ全4戦無失点! 2度のPK戦では1人目担当「触られても入る自信あった」
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ Sponsored by アディダス ジャパン] [1.4 選手権準々決勝 静岡学園高 0-0(PK4-5) 東福岡高 U等々力] 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 圧巻のクロス対応とカバーリングで4試合連続無失点の堅守を支え、今大会で2度目となったPK戦でもファーストキッカーとして君臨。東福岡高のセンターバックを担うDF山禄涼平(3年=ブリジャール福岡FC)が至上の存在感を見せ、過去3度の日本一を誇る名門を9年ぶりの国立ベスト4に導いた。 1回戦の尚志高戦に続いて規定の80分間を0-0で終え、相手に情報を与えた状態で始まった今大会2度目のPK戦。それでも初戦と同じく1人目のキッカーを務めた山禄に迷いはなかった。 「1番が流れを作るみたいなのは記事でもよく見ますけど、自分みたいなキャラが外したら流れが悪くなるなとはずっと思っているので、自分が外さないように……というか、外さないですね(笑)」 1回戦では尚志GKがゴールラインに座り、突然笑いかけてくるという駆け引きに直面した中、堂々と笑い返しながらゴール左ギリギリのコースに蹴り込んだ山禄。この日も同じ左のコースに強烈なシュートを放つと、ボールはGK有竹拓海(2年)に触れられながらも勢いを失わず、ネットに突き刺さった。 「(触られたのは)マジで焦りましたけど、練習でも『触られても入る威力で』というのは神山さん(神山竜一GKコーチ)にも言われてきた。触られても入る自信があったのでホッとしました」 山禄によると、PKキッカーの1番手を任されたのは“キャラ”が理由。「成り行きというか(笑)、『1番手、誰行く?』みたいな感じでいつも自分の顔を(平岡道浩)監督が見てくるので、じゃあ自分行きますよと。緊張しないキャラじゃないけど、落ち着いているキャラではあるので、そこで選ばれているのかなと思います」。落ち着き払った振る舞いを見る限り、その人選はこれ以上なく適任だ。 そんな山禄だが、PKキッカーとしての役割はほんの一部。今大会では1回戦から4試合連続クリーンシートの堅守を支えるという大仕事を担っている。 一番の武器は恵まれたスピードに支えられた守備範囲。相棒のDF大坪聖央(3年)が185cmの高さを活かしてアタックを仕掛ける中、「裏を取られた後でも自分が後ろにいるのはチームにとって安心感があるのかなと思う。スピードあるカバーリング、守備範囲は日本一の自信があるので、そこでチームに安定感をもたらせられたら」という狙いを実現させている。 また静岡学園高戦で目立っていたのはクロス対応の正確さ。相手はサイドの深い位置を取った後、角度をつけながら左右のキックでゴール前へのクロスを試みていたが、ほとんどのボールを背番号5が弾き返し、そのうちの大半を味方につなげていた。 かつてはクロス対応が苦手で、CBを務めるにあたっては「(ゼロからのスタートどころか)マイナスからのスタートだった」という山禄。平岡監督、野瀬大熙コーチの指導を受けながら「クロス練習は1年間通してたくさんやってきた」といい、その成果が選手権の大舞台で実っているようだ。 「クロスが上げられた時、マークの部分でボールウォッチャーになることがずっと多かったけど、野瀬さんだったり平岡先生が根気強く言ってくれて、クロス対応の練習を毎週していったことで、マークとゴールを結ぶところ(ポジショニング)だったり、ボールにチャレンジしながらもしっかりマークを手で触って対応していくというところで、1年間の練習の成果が出たと思う」 クロス対応の安定感が出てきたことで、自慢のスピードを活かした守備対応にも手応えを深めている。「ジャンプ力、予測の部分、認知の部分はプレミアリーグを1年間通して培われた部分でもあるし、その対応はたくさん練習してきた。もし落としても(スピードで)間に合う自信があるので、その部分でも自信を持ってやれている」と胸を張る。 また静岡学園特有の細かいパスワークとドリブルを交えた攻撃にも不安定な対応は見せなかった。 「思っていた以上にめちゃくちゃ上手くてびっくりしたけど、自分たちは相手よりも走ること、身体を張るところでは負けていないと思っていたので、自分たちにはないテクニックのある相手に、フィジカルとか根性で止めていった結果が、危ないシーンもあったけど無失点につながったと思う」 その安定感の背景には、チームメートのMF児玉愁都(3年)の存在もあったようだ。「相手も上手いけど、自分たちの10番(児玉)にも『静学よりも静学っぽい』ドリブラーがいるので」と冗談めかした山禄は「静学が相手に決まった時から2日間楽しみにしていたし、上手い相手とやれて嬉しかった」と振り返り、「ああいったテクニック集団の素晴らしいチームに無失点で勝てて本当に嬉しい」と喜びを表現していた。 もっとも、日本一を目標に掲げる山禄にとってはここからが本番。11日から始まる国立競技場での連戦に向けて、大坪とのコンビにさらなる磨きをかけていくつもりだ。「自分たちのコンビは日本一だと思っているので、それをあと2試合でもっと強く、たくさんの人が日本一のCBは自分たちだと言ってもらえるように見せていきたい」と意気込んだ。