「たかが選手が!」渡辺恒雄さん98歳で死去…強烈イメージの裏で「誰に対しても謙虚だった」と関係者が口を揃える“本当の姿”
「死亡説」が出た後も定期的に出社して存在感をアピール
渡辺氏は、「販売の神様」として読売を支えた務台光雄元社長を尊敬し、1991年に94歳で亡くなった際に病室で立ち会っている。筆者がナベツネの「肉声」として聞いたのは、「自分は務台さんの年を超えるまでは死ねない」。2019年には、盟友として知られる中曽根康弘元首相が101歳で死去し、「本当に悲しいねえ。自分はいつまで生きられるかわからないけど」とこぼした。2018年にはネット上で渡辺氏の「死亡説」が拡散されたことがある。その年末、巨人軍・原辰徳監督の祝賀会に出席した渡辺氏は「死亡説」を笑い飛ばし、定期的に出社して存在感をアピールした。 渡辺氏と親交がある自民党の閣僚経験者は「主筆は『独裁者』だなんて言われているけど、そんなことはない。山口寿一・読売グループ本社社長といった後継者もきちんと育成してきた。嫌いな人は最後まで嫌うだろうけど、やるべきことはやる人物であるのは間違いない」と評する。それを聞いて筆者が思い出すのは、渡辺氏が「〇〇首相は就任時に『また頻繁に意見を聞きに来ます』なんて言っていたのに、最初の1回だけで終わった。人はそういう点が大事なんだよな」と漏らした後、まもなくして某首相は内閣総辞職を余儀なくされたというエピソードだ。偶然にタイミングが重なったのだろうが、ナベツネの「実像」と「虚像」は様々な伝説とともに区別がつかなくなっていったように映る。
新聞業界とSNSの台頭に対する危機感
2024年11月に創刊150周年を迎えた読売新聞は、公式サイトに渡辺主筆メッセージを掲載している。そこでは「正確で迅速な報道と、中道で良識ある社説を掲げ、世界一の発行部数を誇る新聞社に成長し、1994年には1000万部を超えました。日本を代表する新聞の座を確固たるものにし、今に続いています」と強調した上で、今や“斜陽”といわれる新聞業界とSNSの台頭に対する危機感も感じることができる。 「デジタル端末による情報化が進んだ結果、世界では、インターネット、ソーシャルメディアなどから情報を得る習慣が広がっています。この傾向は、世界中の生活、文化、人々の教養や言論、世論に大きな影響を与えており、短い文章などで発信するソーシャルメディアによって正確でない情報や、いわゆる『フェイクニュース』の拡散が繰り返されるなどの問題が生じています。こうしたデジタル社会にあって、政治、経済、国際、社会など各方面にわたるニュースを総合的、体系的に知り、知識を得るための媒体として、新聞の価値は年を追うごとに再評価されています」 与党が衆院で過半数割れという大惨敗を喫し、SNS分析に基づくネット選挙が勢いを増す中で「戦後政治の生き証人」は何を思っていたのか。機会があれば、改めてドンの提言を聞いてみたかった。
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